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みかんマラソンとEM菌

2013年09月6日  

なかなか中日相手に連勝も難しいですね。
横浜もくらいついてきています(3ゲーム差)ので
今日からは横浜を叩き落としましょう。
今の野村投手なら、きっとやってくれますよ。

さて、マラソンの話題その2です。
各地のマラソン大会の楽しみは
その土地のおもてなし。
出店で地域の名産品を買ったり食べたり。
おいしい物が安く食べられて、走らない家族も満足できます。
たとえば江田島のみかんマラソンは、
その名の通りみかんがおいしいので、
参加受付をしたら まずみかんを買って車に置きに戻るのです。
みんな、そうしています。
いや、ほんと、それほどおいしいみかんなんですよ。
ぜひ一度参加してみてください。
みかんを安く買えるというだけで、行く価値はありますよ。

で、
販売コーナーをまわっていると
ギョッとしました。
EM菌のグループが出店販売をしていたのです。

最初に結論を言いますが
EM菌というのはニセ科学なんです。
しかも
今や農業から学校へ・地域へと「信者」を増やしつつあり
非常に問題になっている代物なんです。

都会ではEMやっている人は消えつつありますが、
(きちんと情報が入ってくればニセ科学と判断するのは容易です)、
田舎では一定の勢力を保っています。
いやー、みかんマラソンでEM信者に出くわしたか、と
非常にがっかりした大会でもありました。

EMがどういうニセ科学であるか、
まとめて御紹介します。

EM菌が農作物によいという証拠はない
EM菌というのは「有用微生物群」という意味であり
これを利用して生ごみを発酵させ
肥料などに利用する、
というのが本来の提唱でした。
この部分だけならば、もしかしたら有用性はあるかもしれません。
しかし、農地改良や農作物に有効だ、という証拠は出てきていません。

・効果疑問のEM菌、3町が町民に奨励 板柳町、4000万円で検証委託/青森県 (2012年7月11日)
(魚拓) http://megalodon.jp/2012-0718-0915-31/mytown.asahi.com/aomori/news.php?k_id=02000001207110005
板柳と中泊、鰺ケ沢の3町が、科学的に効果が疑問視されるEM菌を「水質浄化や農地改良に有効」として町民に薦めている。各町はEM菌を培養し、町民に配布。板柳町はEM菌販売業者に4000万円で効果検証を委託し「有効」としたが、専門家は検証を「科学的に無効」と指摘する。
EM菌の効果検証の経験がある後藤逸男・東京農業大教授は、この報告書について「条件の同じ畑で、EM菌を使った場合と使わなかった場合でどう違うか、という比較ができていない。科学的検証としては無効」と指摘する。
日本土壌肥料学会は1996年の検証シンポジウムで、EM菌の農業上の効果に関する検証例を収集したが、顕著な効果の報告はなかった。99年の後藤教授の報告も、EM菌で作った資材(肥料)と既存の有機肥料で、作物の生育への影響に差はない、としている。
96年の検証シンポを主導した茅野充男・東京大名誉教授は「行政が薦めることは、一般利用者には効果のお墨付きになる。個人が自己責任で利用することは止められないが、科学的に効果が証明されていないものを行政が薦めるのは問題」と指摘した。

農地改良のほかにEM菌提唱者が主張したのは
EM菌は水質改善に良い、という主張です。
EM菌を団子にして川や湖、海に投げ入れると
水質が改善する、というものです。
現在、東北地方などの小学校で
これを学校ぐるみ・地域ぐるみで取組みがみられます。
環境にとって良い活動をしたい、
という善意はわかりますが、
EM団子にはそのような効果がありません。
効果がないばかりか、逆に水質汚染をおこすとして
全国的に問題になっているのです。

泥のEM団子は環境を汚染するゴミ? 海や川の水質浄化、生態系復元のウソ
ビジネスジャーナル 2013年9月3日
http://biz-journal.jp/2013/09/post_2829.html

広島県では、水質改善に効果がない、ということをすでに検証し、
広島県ではEM菌利用は推進しないことを決めています。
中国新聞が報道しています。

中国新聞:EM菌「推進しません」広島県 (2003年9月13日)
http://web.archive.org/web/20040406013803/http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn03091304.html
広島県は、海や川の浄化に自治体や環境団体が使っている有用微生物群(EM菌)の利用を推進しない方針を決めた。「室内実験で水質の浄化作用が全く認められなかった」というのが理由だが、普及団体などには反発も広がっている。県保健環境センター(広島市南区)が今年二月から実験。市内の海田湾(南区)や魚切ダム(佐伯区)、八幡川上流(広島県湯来町)の三カ所で採取した水をそれぞれガラス瓶に入れ、EM菌を混ぜて二カ月間、水質の変化を調べた。水はどれも、汚れを示す生物化学的酸素要求量(BOD)や化学的酸素要求量(COD)の数値が上昇。国の環境基準を上回ったまま、戻らないケースもあった。魚介類に悪影響を及ぼす窒素やリンの数値も上がり、赤潮を生むアオコの増殖も抑えられなかった。既に岡山県や福井県も同様の実験を行い、結果も同じという。こうした実験結果を受け、広島県は六月に「県としては、EM菌利用を推進しない」と決め、県内七カ所の地域事務所に通知した。

もとの広島県の報告書はこれ
2003年度 広島県保健環境センター業務年報
http://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/70543.pdf
(3)EM菌製剤を用いた水質浄化効果判定試験
目的
EM菌による水質浄化の取り組みが,県内でいくつか行われているが,EM菌の水質浄化効果については
科学的に十分解明されていないため,その実証を行った。
方法
EM普及協会から入手したEM菌製剤をもとに,同協会の示す方法によりEM活性液及びEM団子を調整し,
室内での実証試験を前年度から引き続き底質改善効果判定試験を行った。
結果
底質減量効果及び底質中の有機物,窒素,燐濃度の低下は認められなかった。これらの結果は,平成14年度の結果と合わせ環境対策室へ報告した。

中国新聞が報じたのですから
江田島の人たちだって読んでいる記事のはずなんです。
ここでEM菌について、(これまで信じていても)一度立ち止まって
疑問に思うべきところなのですけどね。

EM菌の提唱者は、
その後、キテレツな主張を次々展開していくことになります。
代表的なものをいくつか挙げてみます。
・EM石鹸は、「洗浄力をアップする」「排水となって流されると水環境を浄化する」。
これに対しては、石鹸に混ぜた時点で菌は生存しないであろうとされています。
もちろん洗浄についての効果は実証されていません。
・EM菌をまぜた焼き物(土器)でも有用である。
これですと菌は完全に死滅しています。
もし可能性が少しでもあるとすれば 光触媒作用のような触媒作用でしょうが
提唱者側は一切の科学的検証は不要であると言っています。
彼らから、有効であるとの根拠は示されず、
今後も示される予定もありません。
・EMの特殊効果で放射能が消える。
これまでEM菌を信じてきた人たちも、
さすがにこの主張を見るにつけ
アヤシイと気づき始めたようです。
有機物や植物、微生物が、ある種の放射性元素を取り込みやすい性質はあるかもしれません。
ヒマワリがセシウムを吸収しやすいのではないか、という実験もされたりしました。
でも、放射能自体を減らすものではありません。

EM菌というのは、商品なのです。
効果の証明されて無い物を売りつけている者がいる、
それを善意のもとで広めようとしている者がいる、と
認識しておくことが必要です。

新聞記事をたんねんに集めた労作のサイトがあります。
興味ある方は時間のある時にどうぞ。
新聞記事とEM菌
新聞記事とEM菌(1)-データ解析編-
http://d.hatena.ne.jp/warbler/20130428/1367118998

新聞記事とEM菌(2)-考察編-
http://d.hatena.ne.jp/warbler/20130428/1367131822

日本科学者会議は、12月1日の第17回東京科学シンポジウムで
ニセ科学問題 の分科会を開催します。
分科会設置趣旨:
ニセ科学とは、科学の専門家かから見て科学ではないのに、「科学っぽい装い
をしている」あるいは「科学のように見える」にもかかわらず、とても科学とは
呼べないものを指します。ニセ科学は、疑似科学やエセ科学とも呼ばれますが、
基本的に同じです。EM、マイナスイオン、健康食品・サプリメント、デトック
ス、ホメオパシー…と程度の差はありますがニセ科学が世にあふれています。と
くに健康系(水、食品、身につけるものなど)に多いです。
3.11大震災を契機として、「放射線対策をめぐるニセ科学の数々」も目立ちます。
ニセ科学は、理科教育や科学リテラシーの育成の基盤を崩し、 まともな商品
や治療法、環境活動などから遠ざけ、社会にとってマイナスの存在です。
本分科会では、次のようなことをじっくりと議論していきたいと思います。
・ニセ科学の現状
・ニセ科学はなぜはびこるか
・個別的にニセ科学の問題点
・ニセ科学に抗して行くには
・科学リテラシーの育成の活動

ニセ科学の信者なんて、ほっとけばいいじゃないの、
と思われるかもしれませんが、
「まともな商品や治療法、環境活動などから遠ざけ、社会にとってマイナスの存在です。」
という認識が必要なんです。

私がみかんマラソン大会でギョッとし、がっかりした理由、
おわかりいただけましたでしょうか?
なお、
みかんマラソンに参加したのは もう数年前のことであり
最近もEMグループが活動し出店されているのかどうかは
知りません。

***
在宅医療推進のための市民公開講演会

日時:平成25年9月14日(土) 14時30分~16時30分
場所:広島YMCA 国際文化ホール
タイトル:在宅ひとり死のススメ
講師:東京大学名誉教授、NPO法人 ウィメンズアクションネットワーク理事長
上野千鶴子先生

参加費無料
事前申し込み必要、先着200名。
往復はがきで御応募ください。
1枚の往復はがきで3名までお申込みできます。
参加者全員の氏名、
および代表者の連絡先(電話)をご記入ください。
会場の場所は以下
http://www.hymca.jp/hall/place/main_building/hall.html

主催:在宅医療連携拠点事業
「在宅・施設医療ネットワーク広島」
事務局 折口内科医院 あて
730-0822広島市中区吉島東1-4-16

小倉駅で買った物 うなぎのカリカリ
ちょっと生臭いニオイが残っていて、残念。
それが好きな人にはおすすめ。
P1030845.JPG
★新型インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。

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