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がんが発生する理由

2019年10月22日  

人類の知恵が進歩してきたとしても、
いまだに答えられない疑問というのは 非常にたくさんあります。
なぜ、がんになるのですか?
これに対する明確な答えはありません。
その医者が不勉強である、とか そういうことではないのです。
わからないものは わからない、と答えるのが 真摯な姿勢であると思います。
シッタゲに答える医師は信用できません。

 

多段階発がん説は おそらく正しい。
その各段階で生じる事象について、おそらく原因はそれぞれ別に存在しうる。
がん細胞にみられる遺伝子異常は一つではなく、多種類あり、おそらく遺伝子異常の原因はそれぞれ別に存在しうる。
がん化したあと、その細胞は免疫をすり抜ける必要があり(免疫をすり抜けられなければ がんとして成長せずに排除されてしまう)、その仕組みはちょっとずつ わかってきています。そのシステムも一つではないことがわかってきています。
要するに
がんの原因を 一つでは説明しきれないであろう、ということなんですね。
ですから
専門家であればあるほど この説明は歯切れが悪くなり、一般の人が聞けば 「よーわからん」、ということになってしまいます。
逆に この部分を 「ズバリこれ!」みたいに言う医師があるとすれば ニセ科学・ニセ医学だと思ってよいでしょう。

 

でも、
ほんのすこしずつですが、わかっていることも増えてきてはいます。

10月16日 広島市医師会学術講演会に出席してきました。
講演:アスベスト暴露や喫煙による癌発症メカニズムとリスク
   ~地球惑星物質科学的手法の病理学への応用~
講師:岡山大学惑星物質研究所 中村栄三 教授
要点
アスベストには発がん性の認められているものと、認められていないものがある。
発がん性を有するのは、鉄を含有するアスベストである。
その含鉄アスベストを取り巻くように 含鉄たんぱく質が存在する。フェリチン等。
この含鉄たんぱく質は 重金属を吸着して放さない。
たとえばラジウムは海水中の数百万倍に濃縮されて存在している。
ラジウムは5回のアルファ線崩壊を繰り返す。
アルファ線は非常にエネルギーの高い放射線(粒子線)であり、近傍細胞のDNAを切断し癌化の原因となりうる。
ラジウムの崩壊過程で、最初のラドンは気体であり、ここで大気中に逃げてしまうのだが
含鉄たんぱく質に取り込まれていると逃げ場がなく、5回のアルファ線崩壊すべてが その場所でおこなわれることになる。
(= ラジウム濃縮によるホットスポット発がんモデル)

アスベスト繊維を伴わない含鉄たんぱく質も肺内には見出されており、
喫煙者のほうが非喫煙者よりも 多いことが判明している。
***

 

なぜ喫煙により肺癌になるのか、という 答えとなりうるモデルである、と思いました。
では、なぜ 喫煙者に含鉄たんぱく質が多いのか?
ですが
一酸化炭素に関連する仮説を紹介されました。
ま、そこは単純に
喫煙により肺に炎症がおき、マクロファージが動員されて自爆して持ち込まれたもの、と考えていいのではないかと思いました。
(私はマクロファージの研究で医学博士号をとりました。はるか昔の話ですけどね。)

 

アスベストによる発がん、タバコによる発がんが、
「放射線による発がん」という経路にピッタリ重なるとは とても意外でしたが
非常に説得力のあるモデルだと思います。
ほかの臓器の「慢性炎症による発がん」のモデル にも 当てはまるかもしれないですね。

 

このように
はやぶさ・はやぶさ2 の持ち帰る微量な惑星材料を研究する研究者も
みんなで癌研究に取り組んでおりますよ!
惑星研究なんて、人間の役に立つのか? なんて言う人。
役に立っていますよ、役に立たない研究なんてないですよ!

 

栗の季節ですね。
吉島公園すぐ横 マドモアゼル の モンブラン

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