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オバマ大統領の医療政策

2009年02月1日  

オバマ大統領は、就任演説の中で医療についても数カ所で触れています。
みなさん、アメリカの医療は進んでいる、と思っているかもしれませんが、
「医学」は確かに世界の先端かもしれませんが「医療」は失敗しています。
貧富の差が激しいため、保険料を払えない無保険者が4600万人もいます。
保険のなかにも低所得者用の保険と、一般用、さらには高所得者向けに分かれます。
医療費が高すぎ、よい保険に入っていないと まともな医療は受けられません。
患者が病院にくると、「医療保険に加入しているか、その保険は?」ということを
まず聞かれます。あとは保険のカバーする範囲に応じた医療が割り当てられるのです。
よい医療保険のある人には普通の医療、そうでない人は応急処置程度で終わり。
海外旅行に行くのに、オプションで医療保険加入を求められるのは そのためです。
(盲腸の手術でも支払い金額は100万円は軽く超えます。低所得者・無保険者は
心臓手術など受けることすらできません、たとえ善良なアメリカ国民であっても。
WHOは日本の医療が世界一と認定しています。これはまたいずれ御紹介しましょう。)

オバマ氏は、国民皆保険を目指し、医療費も安くしようとしています。
就任演説の全文(日本語訳)は、各メディアが伝えましたが、私は神戸新聞の
ウェブサイトで見つけた訳が出来がよいと思いました。
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0001665585.shtml

私が問題かな、よくわからないな、と思うのは、次の部分です。

We’ll restore science to its rightful place, and wield technology’s
wonders to raise health care’s quality and lower its cost.
後段の、技術によって医療の質を高め、医療費は安くする。
という部分は容易に理解できる内容です。
問題は前段。 「われわれは科学をあるべき姿に回復させ」です。
科学が進歩することにより医療費が安くなれば良いのですが、それは違います。
たとえば、関節リウマチの治療や癌の治療。新しい薬や技術が開発されればされるほど
医療費は高額になっていくのです。開発費がかかるのですから、当然のことです。
では、「われわれは科学をあるべき姿に回復させ」というのは、どういうことなのでしょうか?
こうした高額医療、高額医薬品を安く入手できるようにする、ということでしょうか。
それとも新薬や新技術の開発にはもうあまり金を使わないように、ということでしょうか。

科学を進歩させる、ということと、医療費を安くする、ということは両立しない
と私は懸念しているのです。
オバマ大統領の今後に、注目したいと思っています。期待を込めて。

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