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ビタミンDが欠乏すると認知症に

2010年10月20日  

ビタミンDが欠乏している高齢者は、ビタミンDが充足した高齢者に比べて認知機能の低下が有意に早いことが、英Exeter大学のDavid J.Llewellyn氏らの研究で明らかになった。論文は、Arch Intern Med誌2010年7月12日号に掲載された。
日経メディカルオンライン8月5日
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/etc/201008/516249.html
原文は以下(英語)
http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/abstract/170/13/1135

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米国と欧州に住む高齢者にはビタミンD不足例が多く見られており、市中在住の高齢者の40~100%がビタミンD欠乏状態だとの報告もある。

ビタミンDは骨折や様々な慢性疾患に関係することが知られている。しかし、認知機能の低下とビタミンDの関係を調べた前向き研究はこれまでなかった。

著者らは、イタリアで98年から06年まで追跡、858人を分析対象とした。
ベースラインの認知機能検査では、その時点の血清ビタミンD値が低いほど認知機能が低いことが示唆された。MMSEのスコアは、重症欠乏群が23.7、欠乏群が25.2、不十分群は26.0、充足群は26.3だった。
血清ビタミンD充足群に比べ、重症欠乏群では、MMSEによる認知機能低下のリスクが1.6倍だった。ビタミンD値が低いほど認知機能低下リスクは高く、傾向性のP=0.02となった。
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ビタミンDは骨にとって大切だ、
というのは一般の方にも知られてきていると思います。
でも、
ビタミンDの働きはそれだけではないのですね。
私は大学院生のとき「マクロファージ」という細胞を扱っていました。
細胞の機能分化にもビタミンDは関与しているのです。
ビタミンDを添加して細胞培養をおこなったりしていました。

認知症にも関連しているかもしれない、
ということになると、また新しい展開がみられるかもしれません。
とりあえず言えることは
カルシウム、ビタミンDを多く摂取するよう心がけ
日の光を浴びて運動する時間を作りましょう、
ということでしょう。
いつもおこなっている生活指導ですね。

上級編(読み飛ばしてかまいません)
この類のデータを読むときには
バイアスを考えておく必要がありそうです。
ビタミンD欠乏者は骨粗鬆症、圧迫骨折をおこしやすい。
その結果、歩くことが減り、他人との交流も減るであろう。
ひどい人は寝たきりになるかもしれない。
そういう環境では認知症が進行しやすいであろう。
という一連の結果を見ているのであって
ビタミンDの直接作用とは違うのではないか、ということです。
さらに
ビタミンDが不足している、ということは
その時点で日光を浴びることが不十分である、ということを示しており
外出がすでに減っている状況にあったのではないか。
つまり、すでに認知症があり閉じこもりの症状が出始めていた者が
この研究の中に含まれていた、ということを示すだけではないのか。
ということも考えないといけないように思います。

弥山山頂展望台から。夕焼けがキレイです。
日没して終わり、ではなく、さらに30分くらいは光景が刻々と変わります。
また、日没の方角だけではなく、反対側の方角もキレイだったりします。
P1130410.JPG
★インフルエンザ情報
仙台市で集団発生。
園児20人と職員5人、このうち園児2人は入院。
A香港型(H3N2)が検出されているそうです。
2010年10月19日(火曜日) 河北新報
http://www.kahoku.co.jp/news/2010/10/20101019t13020.htm

小児は重症になりやすく入院を要する状況になることもあります。
ワクチンを早めに受けておきましょう。

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