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保険証の確認に御協力ください

2011年11月8日  

保険証は時々かわることがあります。
医療機関では毎月保険証の提示を求めています。
勤務先や、住所がこれまでと全く変更がないので
「いや~、保険証、変わっちゃいませんよ」
と言われる方も多いのですが、
確認させていただくと保険証が変わっていることが けっこうあります。
「あれ、本当だ、変わっている・・・。」

先日は、3割負担から1割負担に変更になっている方もおられました。
でも、本人も御家族も気が付いておられませんでした。
こうなると医療機関は大変です。
先月・先々月までさかのぼり、カルテの書き換え・再入力と再計算、
レセプトも過誤として差し戻しされますので再請求手続き。
1件が落着するまで半年近くかかることになるのです。

どうして、こういう事態がおこるのか。
健康保険制度は複雑怪奇なのですね。
アメリカのように生涯ひとりに1つの社会保障番号で運用されていれば
このような事態は生じなくなるのですけれど。

というわけで
毎月の保険証の提示をよろしくお願いいたします。
とくに新しい保険証が送付されてきた場合には、すぐ持参をお願いします。

本日のお勉強は、在宅呼吸管理の実態について

東広島市 次郎丸の豚角煮
P1010356.JPG
★インフルエンザ情報
タミフル遅れても投与を A09年型インフル
asahi.com 2011年11月7日22時4分
http://www.asahi.com/science/update/1107/TKY201111070509.html
タミフルは発病早期の服用が有効であり、
保険診療でもそのような規定になっています。
でも、内服が遅れても、服用したほうがよい場合があった
というお話です。
まあ、そのとおりでしょう。
症状が重ければ当然投与するのですが、
軽症だと判断は難しいところです。

本日のお勉強
大阪府下で在宅呼吸ケアを受けている患者とその介護者の実態に関するアンケート調査
日本呼吸器学会雑誌 2011年8月号
淀川キリスト教病院 田中由希子 先生ほか
要点
在宅で酸素療法や非侵襲的陽圧換気療法をおこなっている176名。
患者の平均年齢は74.5歳。
患者のQOLは明らかに低かった。
身体障害者手帳は86.5%が保有し1級が45%、3級が39%。
しかし介護保険の認定は低く出ており、要介護1が最多であった。
介護者は64.7歳。女性、配偶者が多かった。
難治性神経疾患患者の介護者と同様の介護負担感を有していた。
患者や介護者が今後希望するサービスとしては
かかりつけ医、公的助成、短期入院が多かった。
不安や負担に思っていることとして、
患者では「病気の進行」、「経済面」、「通院」が
介護者では「患者の病状」、「自分の健康」、「経済面」が上位だった。
***

COPD(肺気腫など)など呼吸器疾患で、肺の機能が低下してくれば
在宅酸素療法や在宅人工呼吸療法などが導入されます。
酸素を必要とする人はずっと入院しなければいけない、
という時代ではないのです。
酸素を吸う状態の人でも、今では家に帰れます。
しかし、肺構造そのものが回復するわけではないので、
体を動かせば息苦しい状態、というのは変わりません。
(肺は再生しない臓器なのです。)
在宅酸素が必要な状況であれば、身体障害の3級に相当します。
1級というのは、ほぼ寝たきり状態に近いと思って下さい。
多くの人が1級3級の認定を受けていますので
QOL(生活の質)が低いのは当然ですね。

しかし、生活の質は損なわれているはずなのに
介護保険での認定は低く出ます。
介護保険というのが、そもそも脳血管疾患後遺症を想定して
作られた制度だからなのですね。
(元気な認知症の人の介護度が低く出る、という問題も指摘され
それは改善しつつありますが。)
在宅酸素を要する状態で要介護1、というのは
患者・医療者・介護者の立場からすると「低すぎ」と思えます。
でも、息苦しいのを短時間だけガマンすれば
ちょっとくらいの身の回りのことは出来てしまうので
介護認定調査員の前で張り切ってしまうと
介護度はどうしても低く出てしまうのです。
どうやっても出来ないものは出来ない脳卒中後遺症とは違うので、
このあたりが介護保険と身体障害の重症度が一致しない原因なのですね。

介護保険がうまく利用できなければ
介護者の負担は重くなります。
短期入院の環境を要望する声が多い、ということになるのです。

在宅酸素は高額な医療です。
在宅診療として在宅酸素/在宅呼吸療法をおこなえば
月々の医療費はかなり高額になってきます。
医療費の助成制度が望まれる所以なのです。

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