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妊娠・出産には適齢期がある

2011年02月19日  

長女が孫をつれて帰省中。
孫はかわいいですね。

日本医師会雑誌2011年1月号の座談会記事を読んでおりますと、
妊娠・出産について、学校で十分教えられていないこと、
その結果として 妊娠・出産は60歳くらいまで可能ではないか、と
考えている女性がたくさんいる(37%)、という話が紹介されていました。
独身女性の中には45歳での妊娠出産は普通だと思っている人もいるそうです。
そこで全国の産婦人科の先生は、
妊娠・出産には適齢期がある、という話を知って欲しい、
と思っているそうです。

高齢出産には問題が多い、というのは、みなさん知っているところです。
では、どう問題があるのか?

子供と母体に分けて考えてみます。
子供のほうでは、
・早期新生児死亡率は25-29歳で0.7(出生 千あたり)。
それより年齢が多くても若くても高くなります。
特に40歳以上では 2.1 と、倍以上になっています。
・妊娠22週以後の死産率は25-29歳で 3.1(出生千対)。
やはり、それより若くても高齢でも死産率は高くなります。
特に40歳以上ではねあがり、6.5。
45歳以上では11.2 と3倍以上になります。
母体のほうでは
・周産期死亡率が25-29歳で 3.8(出生千対)
20-24歳では4.1、 30-34歳では4.0。
ほかの年代では5以上になります。
これもやはり40歳以上で跳ね上がっています。

これらのデータから考えると
妊娠・出産は25-29歳が母子ともに最も安全です。
ちょっとおまけして30-34歳。
もうちょっとおまけして20-24歳あたりまでなら何とか。
25-29歳のデータと、そう大きくは違いません。
このあたりを適齢期と考えればいいのだと思います。

その範囲をはずれてしまうと、
19歳以下の出産での周産期死亡率は、
35-39歳の周産期死亡率よりも高いです。
若ければいい、というものではないことがわかります。
体がまだ十分成熟しきっていない、ということなのでしょう。

高齢になると、
妊娠する率が大きく低下します。(不妊率 40代で64%、20代前半では6%)
流産する率が上昇します。(流産率 40代では40%)
早産・未熟児の危険性が高くなります。
ダウン症候群などの先天異常が増加します。
妊娠高血圧など、母体のリスクが高くなります。
もし妊娠、出産の希望があるのならば
40歳になってから あわてるのではなく、
もっと早くから対策をするべきだ、と言えるでしょう。

高齢出産はハイリスクです。
普通の助産所や産科医院では難しく、
未熟児センターなどの設備の整った大病院でなければ安全が確保できません。
日本の妊婦死亡率は 10万人あたり3.6人で、
先進諸国のなかで最高の水準です。
日本の産科医師は、世界最高にがんばっているのです。
(アメリカでは妊婦死亡率は 18.4人。日本の約5倍です。)
でも、
ハイリスク妊娠が増えると、大病院の産科にハイリスク患者が集中し、
産科医療が疲弊してしまいます。
産科について医療崩壊がおこったことは皆さん御存知だと思いますが
その原因の一つが
「妊娠・出産が高齢化したこと」、にあるのです。

少子化、を何とかしようと思うならば
保育所や育児休暇などの整備も必要でしょう。
でも、「教育」ということも大切なのではないでしょうか。

学校で子宮頚癌予防ワクチンのお話をするでしょうから、
そのときに妊娠出産適齢期のお話も学ぶことができればいいですね。

関根の ごまらー油。
これは食べるラー油ではありません。
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★インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。
鳥インフルエンザの話題が各地でたくさん出ています。

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