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寿命はあと○か月

2014年08月5日  

大雨警報が出るほどの状況です。
避難が必要と思われるエリアの方は
早めに行動をお願いします。
結果として事故がおこらなかった、ということで終わってもいいのですから。


さて、
余命の告知について。
病院で、余命についての告知を受ける場合があります。
そのときに、どういう表現で伝えられているか、は
同席した人にしかわからないことですが、
患者さん本人が、かなり間違った受け止め方をしていることが
よくあります。

「○月に、あと6か月と言われた。
あれから2か月たったので、あと4か月の命だ。」
と。
これは、けっこう多い間違いのパターンです。

詳しく書くと長くなってしまうので
本日はごくごく簡単に書いておきますと。
私たち医師は神様でも悪魔でもありませんので
一人一人の寿命を正確に予測することは出来ません。
私たちに出来るのは
ある一定の条件の患者さんについて
(癌の種類や大きさ、進行度などの条件のもとで)、
大勢の人の平均値を知っている、ということだけです。
ですから
余命6か月、という話であったとしても
平均すれば6か月、という話であって
「あなたがあと6か月」とは言われていないはずです。

平均値ですから
実際には1か月で亡くなられる方もおられますし、
5年生きられる方もおられるかもしれません。
あなたが1か月なのか、6か月なのか、5年なのか、
ということは
医師にはわかりません、
神様にしかわからないことです。

このあたりは
「悪い知らせを伝える」という医療側のスキルの問題でもあります。
緩和ケアの領域では、基本的に必要とされるスキルです。
スキルのいい医師と、そうでない医師はいると思います。
誤解のないように、わかりやすく、何度でも伝え、
どこまで理解できているか確認しながら少しずつ話をすすめていく、
ということが出来ているかどうか。
私も自分自身常にふりかえりつつ、取り組む課題です。


間違った受け止め方をした患者さんの中には
「自分の寿命はあと○か月」
と思い込んでしまって、
虚無的になってしまう方がおられます。
どうせ、あと○か月の命なんだから
もう薬も飲まない、医者にもかからない、
訪問看護にも来てもらわなくていい、等々、
社会とのつながりを切っていく方向に向かう方がおられるのです。

すぐに誤解を解くことは非常に困難です。
病院の医師の説明として受け止めた思い込みを、
私たち在宅チームの説明で簡単に覆せるものではありません。 
でも時間をかけて説明していけば
自分の置かれた状況が理解できてくることが多いです。
それまでは
せめてケアマネージャと訪問看護とのつながりだけは切らないようにお願いし
医師と薬剤師はいったん圏外に立ち去り
でも状況の把握だけは続ける(状況報告は受けておく)、
ということになります。
ケアマネと訪問看護が継続的にかかわっていくうちに
誤解がとけたり、
あるいは誤解が解消しないまでも社会とのつながりが重要・必要だと思うようになったり、
時間はかかっても気持ちの変化がみられることが多いです。




アイリッシュパブ モーリーマロンズ
ギネスの黒

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★新型インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。

エボラ出血熱は、世界に拡散がはじまるかもしれません。
現地だけでの早期封じ込めは失敗したようです。
世界で流行する、ということではないでしょう。
しかし、医療関係者は記事を読んでおきましょう。
エボラ出血熱、知っておくべき5つのこと
ウォール・ストリート・ジャーナル 8月4日(月)15時52分配信
 西アフリカでエボラ出血熱の感染拡大が止まらない。医療インフラが不十分な国々で致命的な病気を抑制するのがいかに難しいかが浮き彫りになっている。感染者にはリベリアの治療センターで活動していた2人の米国人医師も含まれる。エボラ出血熱について、知っておくべきことを5つ挙げた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140804-00007147-wsj-int

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