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心にのこる出会い151 医療を拒否されていたEさん

2022年06月26日  

カープ、ワンチャンスにたたみかけて大量得点で勝利。いいですね!
今日は九里投手です、応援しましょう!

 

さて、毎月 最終日曜日は 心にのこる出会いです。
150話をすぎましたので、また新たな気持ちで取り組みたいと思っております。

Eさんは90歳。
エレベータのない 古いアパートの4階に 一人暮らしでした。
5年前、息苦しさでY病院に入院。
肺気腫と診断されたのでした。
吸入薬で退院したのですが、2ヶ月後には 通院を自己中止されておりました。
次第に咳、痰、息苦しさが続くようになりました。
大家さんがとても心配され、地域包括支援センターに相談をされました。
主治医がいないため 介護保険の申請も出来ない、ということで 地域包括支援センターから当院に往診の依頼がありました。
そこで 私たちのはじめての出会い、と なるはずでしたが・・・。

最初は、本人から 地域包括に電話がかかり、医療の関与はおことわり、と。
仕方なく地域包括の担当者が Eさん宅を訪れたところ、やはり かなり息苦しそうだ、と。
医師の往診について 本人の同意をとりました、とのことで 翌日 地域包括の方と一緒にEさん宅を訪問してみましたが、カギがかかっており、反応がありません。
翌週、 本人が往診を了承しました、とのことで 地域包括の担当者と時間を合わせて訪問したところ、カギはあいていて 部屋にはEさんは不在。もぬけのからでした。
部屋の中は ごみ屋敷でした。
本人からの依頼が確認できない、ということで 診察も 介護保険導入も いったん白紙に戻すことになりました。

 

1年3ヶ月後。
やはり苦しくなっている、部屋の中を はって移動する状況になっている、と大家さんから地域包括に連絡あり。
大家さん、地域包括の担当者と待ち合わせて訪問しました。
ここでようやく私たちのはじめての出会いです。

息切れあり、浮腫あり、夜間に頻尿あり。
心不全が疑われる状況でしたが、 入院紹介はやはりEさんは拒否されました。
仕方がないので 利尿剤などの薬を処方することとして、そのかわり 定期的な訪問診療と訪問看護の導入は了承してもらい、部屋の鍵はかけないことも了承していただきました。

その夏。
古いアパートですので、エアコンの効きが悪く、部屋が暑いため Eさんは室内で熱中症となりました。
訪問看護が説得し、いったんは入院を承諾されたので 救急車が来たのですが、救急隊には 「どうしても病院には行かない」と翻意され、不搬送となったのでした。
仕方なく数日間 訪問看護さんに指示を出して自宅で点滴してもらい、ようやく少し楽になりましたが、これを機に在宅酸素も必要となったのでした。

Eさんは 動けなくなりました。
布団に くるまってすごす生活。
排尿も ふとんの上で しびんを使用する状況。
食事もほとんど食べられなくなり、栄養補助飲料と菓子類で生きている状況となりました。
それでも病院入院の希望はありません。
最期までここで、という本人希望を何度も確認をおこないました。

その翌年も 夏が近づくと 体調がめっきり悪くなってきました。
栄養補助飲料もお菓子も、ほとんど食べなくなってきました。
酸素以外の治療は 本人が拒否され、点滴もできません。
とくに痛い、苦しい、といったことはなく低空飛行が続き、夏至になる前に Eさんは御自宅で永眠されたのでした。

Eさん、どうしてそんなに医療介入を拒否されているのか、
詳しい話をしてくださることはありませんでしたね。
もうすこし本音を語ってくださる関係を作りたかったですよ。

【解説】
ごみ屋敷の方というのは ときどき おられます。
珍しいことでは ありません。
経験上、ごみ屋敷の方は 医療者の介入は拒否されることが多いです。
エアコンや扇風機も使用されていないケースが多く、「夏を無事に乗り切れるのか」という問題が 毎年毎年 立ちはだかってくるのです。

Eさんの場合には 医療拒否には何か理由がありそうな気がしておりました。
が、医療拒否の理由を語ってくださる方は ほとんどおられないのです。
心を開いてもらえない。
そうなると 私たち在宅チーム側にも もやもやした気持ちが 残ってしまうんです。
私たちに もっと何か 出来たのではないか・・・。
私たちに もっと技量があれば もう少しは心を開いてもらえたのではないか・・・。
などなど。
自分を責める気持ちが どうしても 残ってしまうんですよね。

 

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2022年6月26日(日)11:00〜16:00
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