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心にのこる出会い152 息子さんと二人暮らしだったFさん 

2022年07月31日  

昨日も暑かったですね。
おしめり程度の雨でも とてもありがたいです。
エアコン入れ、水分をこまめに飲んでください。
買い物などの用事は 午前中に全部終わらせましょう。
夕方には 打ち水しましょう。

カープは、貧打ですねえ。

 

さて、毎月 最終日曜日は 心にのこる出会いです

Fさんは93歳。
胃癌の手術を受け、やせた状態となっていました。
そこに脳梗塞をおこし、認知症が残った状態で 何とか自宅生活がかろうじて出来ていました。
あるとき、室内で転倒し、大腿骨骨折をおこし入院となりました。
手術のあとはリハビリ目的で転院したのですが、今度はそこで腸閉塞をおこしました。
度重なる手術で Fさんは めっきり弱り、前のようには動けなくなってしまったのでした。
家に帰るには 在宅チームをちゃんと整えてからでなければいけません。
病院の相談室が在宅メンバーをそろえます。
まず訪問看護ステーションが決まりました。
その訪問看護ステーションから 当院が推薦されたのでした。
退院前カンファレンスで 私たちのはじめての出会いです。

まず最初に、息子さんから「お金がない、仕事を休めない」、というところから はじまりました。
正直に言ってもらえれば 対策の打ちようがあります。
処方のなかに30日制限の薬がありますから、訪問診療は月1回となります。
24時間対応は 医療機関ではおこなわず、訪問看護で対応してもらうこととなりました。
24時間の対応をしない、ということで 医療機関の費用は かなり安く出来ます。
退院時に持ち帰る薬の種類・数も 最低限まで少なくしてもらうこととして。

仕事が休めない、ということで、退院前カンファレンスから実際の退院まで ほぼ1か月 かかりました。 退院前カンファレンスのあと、数日以内に退院することが普通です、1か月後に退院というのは 異例のことでした。

高齢の息子が 超高齢の老親を介護する、という時には 在宅チームに緊張がはしります。
「ほんとに介護なんて 出来るの?」・・・

退院してFさんの家に行ってみたとき、「あーあ、やっぱり」でした。
ごみ屋敷だったのです。
これまで 同じ屋根の下で暮らしているとはいっても、それぞれが それぞれの生活をおこなっていたのです。
食事を作って食べさせたり、着替えさせたり、入浴させたり、ということは 息子さんはやったことがありません。
退院時点では Fさんは歩行器でトイレまで行けましたが、
そのうち寝付くことになれば 「おむつ交換」という問題も出てきます。
当然 おむつ交換なんて 息子さんはやったことも見たこともないのです。
各種の介護サービスを導入していただく、ということで できるだけ息子さんに介護負担がかからないように 手配をおこないました。
それでも寝付いて おむつが必要になれば Fさんの自宅療養は限界かなあ・・・。
Fさん御本人は、介護や生活への希望については 自分からは何も おっしゃいませんでした。

十分な食事が摂れるわけではありません。
Fさんは しだいに やせ細っていきました。
ほとんど起き上がれなくなり、臥床時間がほとんどとなってきました。
また、食事のさいに ムセるようになってきました。

あるとき、発熱がみられたが、その後 熱は下がった、という知らせが入りました。
往診の要請もなく、熱がないので そのまま様子を見ることとなりました。
翌朝、息子さんに電話してみると、
「朝 熱がなかったので デイサービスに行かせました。」とのことでした。
で、
デイサービスに電話して状態を聞いてみると
熱が出ており、SpO2が低下している、とのことでした。
考えられるのは 誤嚥性肺炎です。
息子さんと電話で相談した上で 入院先を確保し、 デイサービス先から救急車で入院となったのでした。
Fさんは その2週間後 誤嚥性肺炎で病院で亡くなられました。

Fさん、息子さんも 自分の出来る事は がんばってこられたのですが、これが限界だったように 思われますよ。

 

【解説】
高齢の息子さんが 老親の介護をする、というのは 課題山積みであるケースがあります。
ごみ屋敷、適切な食事ではない、入浴問題、おむつ交換問題など、
ネグレクト一歩手前 というギリギリの状態に置かれる方も おられるのです。
ジェンダー問題に結びつけてはいけないのでしょうけれど、
老親を娘がみる、という場合と、老親を息子がみる、という場合では
娘といっしょのほうが よい環境ですごせる人が多いと思われます。
Fさんの場合には、必要な介護サービスは 入れてもらえましたので、ネグレクトではありません。

お金がない、ということを 最初から正直に言ってもらったのも よかったかな、と思います。
我々在宅チームも、経済面を考慮したプランを立てることが出来ますのでね。

 

今週の花

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