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心に残る出会い146 入院中に せん妄をおこしたOさん

2022年01月30日  

カープ、新しいマツダスタジアムのグループ席・パーティー席が 発表になりました。
どんな感じか、ぜひ行ってみたいものですね。

 

今週も外食せず。この週末は おでん、おでん、です。
いまは不要不急の外出は控えましょう。
よろしくお願いいたします

 

さて、毎月最終日曜日は 心に残る出会いです。

Oさんは80歳。
前立腺肥大で尿が出にくくなり、泌尿器科に受診し治療を受けていました。
高血圧、脂質異常、尿酸高値もあり、これらもまとめて泌尿器科で管理されておりました。
5-6年前から もの忘れが出てきておりましたが、奥さんがしっかりカバーしているので、日常生活には困ったことは何もありませんでした。
ある時、腰痛および尿が出ない状況となり、救急車で病院に運ばれました。
自力での排尿が困難となり、導尿カテーテル留置となったのでした。
入院で筋力が低下し動けなくなったため、「転院してリハビリをおこなってから退院」、という話も出たところで、 Oさんは せん妄をおこしてしまったのでした。
せん妄をおこした時には、全身状態の改善を図るとともに、出来るだけ早く 元の生活に戻してあげることが重要です。
このため急いで退院し、御自宅に帰ることとなりました。
退院後の導尿カテーテル管理は泌尿器科が継続でおこないますが、全身管理は当院に依頼があり、御自宅ではじめての出会いです。

御自宅に戻ったOさんは、認知症はあるものの せん妄はみられません。
ただ、下肢筋力が低下しており、何度か室内で転倒、打撲をされるようになっておりました。
食事量も少なくなってきていましたが、奥さんがなんとか工夫をしておりました。

そのうちに、激しく転倒し、頭部を強く打つことがおこりました。
目の周囲が ひどく腫れ上がっています。
さすがに病院受診しかありませんが、とくに骨折や頭蓋内出血などはなく、経過観察でよい、ということになりました。

それからも食事量は減り続けます。
ついに ほとんど食事が出来なくなってきたため、頭部打撲による慢性硬膜下血腫などを疑って、再度の病院受診となりましたが、画像検査も血液検査などでも とくに食事量低下の原因となりそうな異常は何も見つからないのでした。

入院するか、家に帰るか。
奥さんは、自宅に帰り、家で看取ることを選択されました。
前回の入院で Oさんはせん妄をおこしており、自宅のほうが本人が安心してすごせること、
コロナの状況下で 家族の面会が出来なくなるのは心残りになること。
そして何より
Oさんの奥さんは 自分の両親、Oさんの両親を それぞれ自宅で看取ってきた経験があるのでした。
「経験があるから大丈夫」、と奥さんは話されておりました。

それから2週間後、Oさんは御自宅で静かに旅立たれたのでした。
Oさん、奥さんが「大丈夫」と言ってくれて、最期まで家ですごすことが出来て よかったですね。

 

【解説】
高齢者が衰弱してきている段階で、意識が清明ではなく 曇ってしまう状態を せん妄と言います。
わけのわからない発言・興奮・行動(チューブを引き抜くなど)がみられることが多いです。
本人にも御家族にも とてもつらい状況です。(本人は覚えていませんが)
環境が変わるのが 一番の原因のことが多く、出来るだけすみやかに 元の環境に戻すのが基本となります。
つまり、入院後のせん妄であるならば、早急な退院が基本です。
そのほか、発熱や脱水、便秘などの身体的不調が せん妄の原因だったり、あるいは薬剤が原因だったりします。
ここを手早く調整・改善させ、可能なかぎり早く退院、という治療方針となります。
あとは在宅チームが 状態の調整をおこなっていけば よいのです。
せん妄が出たら即日退院、ということも 珍しくはありません。

御家族からしたら、「こんな状態なのに退院??」と思われるかもしれません。
いえいえ、こんな状態だからこそ 早い退院がいいのです。

この状況を体験された御家族は、もう二度と 病院入院は希望されないことが多いです。
入院は本人・家族のためにならない、ということを学ばれるからです。

もちろん 終末が近づくにつれ、御自宅であっても 程度の差はあれ せん妄が出現することは多いです。
が、多くの御家族は 受け止めていかれます。

大丈夫ですよ、在宅チームは いつでもそばにいますよ。

 

今週の花

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