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心に残る出会い147 すてきな家族写真が飾ってあったFさん

2022年02月27日  

昨日も、コロナ患者の診察で 走り回っておりました。
高齢者施設に いったん感染者がでると(入所者あるいは職員)、
あっという間に 施設全体に感染が広がってしまいます。
徘徊する老人、マスクが出来ない老人の 「止めようがない」からです。
ですから、
患者発生のごくごく初期段階で その感染者を隔離(=入院)させることが出来れば
うまくいけば そこで感染の芽を摘み取ることが出来るかもしれません。
でも、その初期段階では クラスター認定もされておりませんし、行政は動いてくれないんです。
感染が拡大し、クラスター認定される段階になってから 対策しようとしても、実は もう遅いんですが、
このことは 行政側には わかってもらえません。
軽症なら そのまま施設でみてください、って 言うんですよ。
感染者が増大すると、一定の比率で 入院を要する重症者が 出てくるんです。
「初期消火」が重要なのは高齢者施設でも同じ ということを、行政にわかってほしいです。
高齢者施設で患者が発生すれば、その1名は ただちに入院(=隔離)、
濃厚接触者については感染者とみなしての厳重対応 というのが 施設全体に広げないための「初期消火」方法となります。

多発している高齢者施設クラスターに、今どういった対策が必要なのか
Yahoo 忽那賢志 感染症専門医 2022/2/23
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20220223-00283425

 

さて、毎月 最終日曜日は 心に残る出会いです。

Fさんは98歳。
脳梗塞後の認知症で、介護サービスなど利用しながら 一人暮らしを続けてきました。
市営アパート建て替えのため転居が必要となり、引っ越ししてきた先で 当方とのはじめての出会いです。

いろいろと謎が多い方で、生活歴など質問しても 認知症で 的確な答えが返ってきません。
タイピストをしていた、とか、水商売していたのではないか、とか。
高齢なので店を閉じた、というかと思うと、自己破産したのではないか、とか。
引っ越しの際には、「開運の印鑑」、「幸運を招く下着」など 「アヤシイもの」が 多量に発見された、とのことでした。

身寄りはない、というお話でしたが、
古い家族写真が1枚 飾ってあるのが 気になりました。
(年齢からすると) 戦前の写真であることは 明らかです。
それが とてもオシャレな服装で 写っているんです。
神戸生まれ、とか、妹はミス神戸になった、とか、母親のことを「ママ」と呼ぶ、とか、
本人のそういう話を聞くと
神戸出身だったんですね、この写真は神戸港ですねオシャレですね、という話になるんですけれども。
しかし 島根の生まれ、とか 安芸郡の生まれ、とか 菩提寺は矢賀にある、とか言ったりして。
もう何が本当なのか わからない、謎だらけの人なのでした。

持病の心不全も徐々に悪化し、寝付く時間が長くなってきました。
Fさんは いつ診察しても 手を合わせて感謝をされます。
そうして 穏やかに 旅立たれたのでした。
Fさん、もうすこし 昔のオシャレな時代の話を聞きたかったですよ。

【解説】
本当に身寄りはないのか、というのは いつも気になります。
とくに家族写真が飾ってあるような場合は、なおさらです。
家族のことが 心の奥底にトゲのようにひっかかっている方も たくさん経験してきているのです。
そして、その わだかまりが解消されると、心やすらかに なられる方も多いのです。
だから私たちは おせっかいのようでも 「家族関係の修復」 というのも 横目でにらみつつ 訪問診療をおこなっています。
しかし、認知症があると、難しい。
小学校の話とか、お寺の話とか、いくつか「とっかかり」になりそうな話題を振ってみても それでもダメなら それ以上は我々には難しいです。
情報を得る手段がないからです。

行政は、戸籍関係の情報、親族の情報を持っています。
が、その情報は ケアマネージャほかにも 教えてはくれません。
そりゃそうですよね、家族以外に個人情報が提供されるというのは ありえませんので。
死亡届が出て、それではじめて 親族に連絡がいく、ということになるのです。

 

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