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心に残る出会い149 酸素をたくさん必要としたDさん

2022年04月24日  

カープ、0点での勝利、いいですね!
投手がしっかり投げれば いい試合になります。
今日は玉村投手です、応援しましょう!

さて、毎月 最終日曜日は 心に残る出会いです。

Dさんは71歳。
御夫婦二人暮らしです。
10年前に癌の手術を受け、うつ病を発症し精神科治療を受けていました。
その後、娘さんが亡くなられたため、うつ病が重くなり、体調の悪化を繰り返すようになり、何度も救急車で病院に運び込まれたり、入院したりしておりました。
そのうちに、間質性肺炎も併発し、在宅酸素で退院することとなり、当院に在宅医の依頼がありました。
病院での退院前カンファレンスで私たちのはじめての出会いです。
(当方は呼吸器学会の専門医・指導医なんですよ。)

退院されてからも、食欲不振や不眠、便秘など さまざまな体調不良の訴えが続きます。
その状況でも在宅での呼吸リハビリに取り組まれ、調子がよい日もありました。
しかしまた、時には非常に苦しくなって 救急車を呼ぶこともありました。

間質性肺炎は、徐々に進行していくタイプでした。
咳や、身体を動かした時の息切れが 次第にひどくなってきました。
そして息苦しさが一段と悪化したため、ついに再入院となってしまったのでした。

間質性肺炎のときは、吸入する酸素の量は 増やします。
私たちが病院にお見舞いに行った時は、「ネーザルハイフロー」と呼ばれる非常に高流量の酸素吸入を要する状態でした。
うーむ・・・、この高流量では 自宅退院は難しいかな・・・。

Dさんは、そのまま退院はかなわず、病院でお亡くなりになりました。

Dさん、いろいろ体調不良のときに、夫はよく支えてくださいましたね。
なかなか出来ることではないと思いますよ。
もう一度 御自宅に帰れればよかったんでしょうね。

 

【解説】
間質性肺炎は、通常の「細菌性肺炎」とは ちょっと違います。
とくに、原因不明で慢性に徐々に進行するタイプのものは、特効薬がありません。
病気のおおまかな理解、イメージとしては。
手足に傷、炎症をおこすと、治るときにカサブタが出来ますよね。
それが肺の中に生じ、肺がカサブタだらけになっていく、という感じです。
肺が硬くなり、正常な肺が少なくなり、肺が広がらず呼吸機能を果たせなくなっていく、というイメージです。

酸素供給できる量は、在宅酸素療法で一般的に使用される「酸素濃縮機」では7リットル/分までです。
裏技的になりますが、酸素濃縮器を2台併用することで10リットル相当まで なんとかなることがあります。(注:オススメしているわけではありません)
病院の酸素配管では、通常だと15リットル程度まで大丈夫のことが多いです。
それより多くの酸素流量が必要な場合には、「ハイフロー」という方式があり、
30リットル換算相当まで可能とされています。
が、残念ながら高流量酸素療法は在宅では難しいことが多いです。
少し動いただけで息苦しさが悪化するようでは、在宅生活は 実際にはなかなか難しい・・・。
(液体酸素という方法もありますが御家族が相当しっかり支援してくださらないと導入・維持が困難です、扱いが難しい。)
つまり、「そんなに多くの酸素が必要なのであれば 退院は難しい」、ということになってしまうのが現状です。

 

でも、あきらめるのは まだ早いです。
2022年の診療報酬改定で、ハイフローセラピーが保険適応となりました。
疾患も、状態も 限定されたものではありますが、
専門医に相談する価値はあるでしょう。
***
在宅ハイフローセラピー
対象となる患者は、在宅ハイフローセラピー導入時に以下のいずれも満たす慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者であって、病状が安定し、在宅でのハイフローセラピーを行うことが適当と医師が認めた者とする。
ア 呼吸困難、去痰困難、起床時頭痛・頭重感等の自覚症状を有すること。
イ 在宅酸素療法を実施している患者であって、次のいずれかを満たすこと。
(以下、略)
***

実際の具体的な導入方法としては
まず呼吸器専門病院に入院して精密検査を受け、
ハイフローセラピーが適応になるのであれば 処方・指導をしてもらって
それから在宅に戻る、というのが よいと思います。
当院の場合には、吉島病院に検査・教育・治療・呼吸リハビリの入院を お願いしています。

 

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