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心に残る出会い16 大腸癌のKさん

2010年10月31日  

Kさんは80歳。
半年前に腰椎圧迫骨折をおこし、退院したのですがほんの少ししか歩けず
家から一歩も外に出ない生活をおくっていました。
最近やせてきた、ということを御家族が心配されて
往診・訪問診療を当院に依頼されました。
以前から自律神経失調症とも診断されており
いろいろな病状を訴えるため、
総合病院でかなりの精密検査を施行されていました。
最近では1年以内の全身CT検査で異常なし、とされていました。
診察所見でも、とくに何もありません。

いろいろな症状の訴えのうち、
一番おもなものと思える逆流性食道炎の薬を開始したところ
食欲が出て、しっかり食べられるようになりました。
体重ももとのように回復していきました。

その後、また圧迫骨折をおこし入院したのですが
今度の入院ではせん妄が出て
わずか2日で退院となりました。
入院を継続できないほど ひどいせん妄だったのです。
自宅に帰るとせん妄はおさまりました。
筋肉注射などで対応し、骨折の痛みは徐々に消えていきました。

そうするうちに
今度は下血。
K病院に入院し精密検査をおこなったところ
肺癌と大腸癌と診断されました。
1年前の検査ではどちらも指摘できず、進行が非常に早い癌と考えられ、
また、入院で今回またしてもせん妄状態が出てきましたので
早期に退院し在宅ホスピスで対応することになったのです。

その後の経過で、腸閉塞をおこしたり、高熱が出たりしましたが、
もう本人も御家族も入院は希望されません。
入院して せん妄 となり、退院すると改善する、
ということを2回も繰り返してきました。
せん妄をおこした家族の姿を見るのは、とても悲しい。
もう入院はしない・させたくない、
家で生活するのが一番よい、という判断になったのです。

自宅の庭には、いろいろな花が植えてありました。
Kさんは、花が大好きだったのです。
窓から庭の見える部屋にベッドを配置し、
Kさんは、その2ヶ月後に自宅で亡くなられました。

せん妄、というのは 家族など周囲がつらい状況です。
Kさんは せん妄のせいで在宅緩和ケア、在宅看取りとなりましたが
でも 結果的には幸せな時間をもてたのではないかと思います。

29日は白神社のお祭りでした。
毎年行っています。
ベビーカステラと、いが餅を買いに行くのです。
今年はハート型のベビーカステラになっていました。
P1130512.JPG
★新型インフルエンザ情報
高知県で今シーズン初の新型インフルエンザ確認。
Yahooニュース 毎日新聞 10月30日(土)15時16分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101030-00000199-mailo-l39

今年の流行はA香港が主流になるのか新型2009A/H1になるのか
まだわかりません。

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