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心に残る出会い38 IVHルートを作成したIさん

2012年10月28日 , 

昨日は、広島で生の落語を聴く会。
独演会でたっぷり、もいいのですが、
昨日は二人会ということで
トリの演目「へっつい幽霊」では前の噺を受けて話を振ってみたり、
それは面白いものでした。
みなさんもぜひ落語会に御参加ください。
次回は1月13日、立川生志師匠「ひとりブタじゃけぇ」PARTⅣです
http://namarakugo.e-know.jp/

さて、毎月最終日曜日は心に残る出会いの御紹介です。
在宅末期がんでは、中心静脈点滴ルートを新たに作成することは
あまりないことなのですが、
まれには作成することがあります。

Iさんは74歳。
1年半前に膵頭部癌の手術、引き続き抗がん剤治療を受けていましたが
再発、肝臓転移をおこしていました。
痛みには経口オピオイドが使用され、症状はおさえてきましたが
食欲がなくなり動けなくなってきました。
それまでは週1回病院に通院しつつ点滴を受けていたのですが
もう通院は出来ません。
そこで、娘さんから在宅緩和ケアの依頼があり
当方のはじめての出会いです。

Iさんは、食べるたびに下痢をしており
ヤセが進行していました。
血圧も低めで、脱水もあります。
点滴をすると楽になる、というので
週3回、訪問看護にて点滴をおこなうことになりました。

しかし、手足にいい血管がありません。
血管が細く、点滴するとすぐに漏れてしまうのです。
留置針という工夫もしてみましたが、
ついにどこからも点滴困難という状況になってしまいました。

この段階で、選択肢がわかれます。
点滴を終了する選択、
皮下注射でおこなう選択、
点滴ルートを作成する(IVHルート確保)選択、です。
点滴終了となることが実際には多いです。

Iさんと御家族は話し合った上で
IVHルートを作成してもらうことを希望されました。
すぐに元の病院に連絡しIさんに受診していただき
頚部から中心静脈点滴ルートを確保していただきました。
もう何日ももたないことが想定されていたために
IVHのポート埋め込みまではおこないません。
高カロリー点滴だとゆっくり時間をかける必要があるため
体を動かせず、苦痛です。
このため通常の点滴500mlを1本だけです。
(ブドウ糖は多めに混ぜています)

その後も次第に衰弱はすすみ内服も困難になり、
オピオイドは貼り薬に変更しました。
これで痛みはおさえることが出来ています。

ある朝、呼吸の間隔が長くなった、と電話です。
緊急で駆けつけましたが、そのままお亡くなりになりました。
昨夜は遅くまで家族そろって、いろんな話をしたそうです。
東京出張の予定があった長女さんも、事情を説明して出張を延期してもらい
家に家族全員がそろっていたのでした。
もう遅いので寝ましょう、といって前夜は就寝し、
娘さんが朝起きたら もうIさんの意識はありませんでした。

在宅で癌末期の方にIVHルートを作成することはあまりないのですが、
「最期まで点滴を受けたい」、という本人の希望をかなえることもでき、
苦しむことなく最期まで自宅ですごすことができた、と
御家族は感謝しておられました。

昨日は広島で生の落語会のあとニシナ屋コーヒーに立ち寄り、
沖縄料理 新垣家で家族が集合し夕食。
http://dm-okinawa.com/arakakiya/
定番のラフティー。
温泉卵つきは珍しい、おいしい。
a rafutei.jpg
★新型インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。

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