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心に残る出会い62 トイレに歩いて行くSさん

2014年10月26日  

毎月最終日曜日は心に残る出会いです。

Sさんは75歳。
アパートに一人暮らしです。
ずいぶん前に大学病院で多発性硬化症との診断を受けており、
通院困難なため当院に訪問診療の依頼がありました。

室内でも歩行はフラつき、
杖を左右2本使用しないと移動ができません。
室内には物が散乱しており、段差もあって歩行器は使えない状況でした。
転倒したら危ないので
ベッド脇にポータブルトイレの設置をすすめましたが
がんとして聞き入れません。
トイレまで自力で歩いて、トイレで用を足す
というのがSさんのプライドでした。

体が不自由なため、調理も掃除もできません。
デイサービスでの食事だけがまともな食事で
あとは届けてもらう弁当やパンでの生活でした。
デイサービスに行くのは大好きで、
折り紙などの作品づくり(リハビリ)にも取り組み
家の玄関には作品が何個も飾ってありました。

タバコが楽しみなので
施設への入所はSさんの選択肢に残っていません。
寝たばこに近い状態なので、
せめて火事だけは出さないように、と
くれぐれも念をおしての在宅生活です。

Sさんは、喘息をもっていました。
カゼをひいた時や、冬の冷たいすきま風で喘息発作をおこします。
自分では吸入器を操作するのも困難なので
訪問看護の時にだけ吸入薬を使用しておりましたが
ときどき喘息発作入院をする状況が繰り返されておりました。

ある時、急に大きな喘息発作がおきました。
入院治療をおこなったのですが
心臓も弱っており、乗り切ることが出来ず
入院2日目に病院でお亡くなりになりました。

Sさん、
トイレに歩いて行く、というプライドは
みんなが認めていましたよ。
最期までがんばりましたね。


てっぺん
とろろ の お好み焼き(麺抜き)

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★インフルエンザ情報
千葉市の幼稚園で学級閉鎖が出ています。
今シーズンのワクチン接種は、早いほうがいいと思います。

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