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心に残る出会い81 病院での治療がつらかったIさん

2016年06月5日  

毎月最終日曜日は 心に残る出会いです。
先週の予定がずれており、申し訳ございません。


Iさんは80歳。
5年前に膵臓癌の手術を受け、
その後 毎月のように抗がん剤点滴治療を続けてきましたが
副作用としての食欲不振がひどくなり
治療終了となりました。
その半年後、癌による胸水が貯まり入院治療。
膵臓癌による痛みもあり、下痢もひどい状況でした。
とにかく入院治療がつらい、ということで
薬剤量の調整の段階なのですが 強い希望で自宅に戻ることとなりました。
あとの薬剤調整など 当院にお願いします、という依頼を受け
御自宅で私たちのはじめての出会いです。


退院してから、ようやく少し食べられるようになってきました。
痛み止めは、定期薬のほかに頓用の医療用麻薬(オピオイド)を1日3-4回。
オピオイドだと便秘になりやすいのですが、
Iさんは下痢もひどく
原則1日2回の下痢止め剤を とくべつに1日3回使用していただきました。

2回目の訪問診療のときには遠方の息子さん夫婦も来られていて
こまかい状況説明もさせていただきました。
もう病院には行きたくない、という本人の強い希望。
みんなでそれを尊重し、
Iさん御本人の気が変わらなければ 自宅での看取り方針となりました。
インターネットを活用した連絡・情報共有システムへの登録をおこない
遠方の御家族にも状況が理解しやすくしました。
動くとしんどい、トイレまで行って帰ると息切れ、
という点については
在宅酸素の導入と、ポータブルトイレの用意をしていただきました。

これでずいぶん病状は楽になり
メイバランスが1日3回 飲めるようになりました。
痛み止めの臨時使用回数も減りました。
ところが
便通のコントロールだけは なかなかピタッといきません。
下痢気味になったり便秘気味になったり。
薬の種類や量の微調整が続きました。
これまで薬の管理は妻がされていたのですが
微調整することが多くなったため
訪問薬局に入っていただき薬の管理をおこなうこととなりました。

しばらく安定した時期が得られましたが
下腹部に癌の固まりが大きくなってきました。
痛みも強くなり、オピオイドを増量していきます。
食事もほとんど摂れなくなり、「だるさ」が主な症状となりました。
ステロイドを上乗せして だるさの軽減をはかります。
夜はぐっすり眠りたい、というので眠る薬も調整します。

食事が摂れなくなってきて10日後、
Iさんはしずかに御自宅でお亡くなりになりました。

Iさん、御希望が明確だったため
みんなのがんばりを 一つに集めることができて
よかったですね。


膵臓が悪い人は、消化不良など 下痢をしやすい状況です。
最近、新しい「膵疾患用の消化剤」が開発・発売されました。
今なら、当時よりもう少しは良い状況にコントロール出来る可能性もあるかもしれません。




新神戸駅すぐ
竹中大工道具館
http://www.dougukan.jp/

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組子細工の障子
すばらしい技ですね!

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★新型インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。

コンサートのお知らせです。
「人の心に平和のとりでを築くコンサート」
合唱あるいはオーケストラに、多くの市民が参加しています。

日時:2016年7月10日(日) 15時開演予定
会場:広島文化学園 HBGホール
曲目及び指揮者
第1部
モーツァルト
「魔笛」序曲 ※オーケストラのみ
「アヴェ・ヴェルム・コルプス」

ベートーヴェン
「エグモント」序曲 ※オーケストラのみ
「合唱幻想曲」
指揮 田中祐子

第2部
「蔵王」
作詞・尾崎佐永子 作曲・佐藤眞

「大地讃頌」
作詞・大木惇夫 作曲・佐藤眞
指揮 佐藤眞

ぜひご来場ください

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