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心に残る出会い84 苦しくない最期のWさん

2016年08月28日  

昨日の広島星まつり、
曇天で天体観望会は実施できず、残念でした。
来年も開催しますので、ぜひ御参加ください。

さて
毎月 最終日曜日は心に残る出会いです。

Wさんは75歳。
脳出血後で歩行が少し不自由でしたが、
自転車を押しながら移動し
町内会の役員などをされていました。
1年前に肺癌と診断されましたが、すでに手術は不可能。
とくに苦しい症状もないので、そのままになっていました。
1ヶ月前に息苦しくなり、近所の病院に入院。
胸水の治療を受け、自宅に帰ることとなり 私たちのはじめての出会いです。
少し動いても息切れがします。
在宅酸素を開始することになりました。
Wさんは、これまでどおり 町内会の役員を続けるつもりでした。
では、移動時には酸素ボンベを自転車に積んで移動してください。

ああ、確かに、酸素があると移動は楽じゃね。

その次には、咳がひどくなり、食欲も落ちてきました。
ステロイドを開始し、食欲が回復してきます。
食欲が回復したので、モルヒネを少量から開始、
咳も軽くなってきました。

咳もないし、食欲もあるよ、と本人は言い
苦痛はとくにみられない時期が続きましたが
実際には一人分の1/3程度の食事量です。
メイバランスのコーヒー味なら飲める、ということで
メイバランスでカロリーを補います。

その後、じょじょに食欲は落ちてきて
メイバランスもあまり飲めなくなりました。
でもWさんに苦痛の症状はありません。

正月休みに、息子さん一家が帰省してきました。
そこで、今の状態説明と今後の方針について 相談することになりました。
しかし予定の時間に私たちが訪問した時には 息子さんたちはすでに車で出発された後でした。
雪が降り始めたので早めに帰る、と。
ああ、それは仕方がない、少し間に合いませんでしたね。

ところが雪で高速道路が閉鎖になった、と
息子さん達が戻ってこられたのです。
そこで今後の方針の確認です。
本人は 家が良い、病院はイヤだ。
Wさんの奥さんは
癌の末期は みんな痛くて苦しいのだ、と思っておられたそうです。
苦しくない最期って、あるんですか?

今は、癌の痛み苦しみは かなりの部分 とってあげられる時代になりました、
と説明すると
それならば家で最期まで。

息子さんは
父親は言い出したら そのようにするしかないから。
苦痛がないなら家でお願いします。

その4日後。
酸素が少し下がってきました。
苦しいわけではなく、黒豆やカブをミキサーにして少し食べました。
酸素量を増やし、ステロイドを増量します。
その夜、Wさんは御自宅で静かにお亡くなりになりました。

Wさん、正月に家族みんなに会えて よかったですね。

こぱん亭
ここの〆め(デザート)はフレンチトースト
P1050051.JPG
★新型インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。

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