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心に残る出会い89 頬粘膜が破れたYさん

2017年01月29日  

近所に、梅が咲くお宅があります。
今年も もう咲いています。
昨日は土手をランニングしましたが
つぼみが膨らんでいる木もありました。
春は近いですね。

さて、
毎月最終日曜日は 心に残る出会いです。

Yさんは97歳。
認知症、腰椎圧迫骨折後で 特別養護老人ホームに入所されていました。
内科(私)のほかに、訪問歯科の先生に施設で診察してもらっています。
ある日、歯肉の炎症が治らない、ということで
歯科の先生が病院紹介したところ頬粘膜癌でした。
高齢なので、手術ではなく対症療法のみ、ということになったのでした。

最初のころは何も症状がありませんでしたが、
半年を過ぎた頃から次第に痛みがではじめ
医療用麻薬オピオイドを開始しました。
次第に腫瘍は増大し、皮膚を食い破り顔を出してくる日も近い、
そういう時期がきました。
癌が皮膚に顔をだした場合、
悪臭と出血が問題となります。
程度にもよりますが、周囲の人の食欲がなくなるくらいの悪臭になる場合もあります。
もし出血が続き、ガーゼ交換など頻回な処置が必要となれば
老人ホームではなく病院のほうがいいかもしれません。
(老人ホームには夜間 看護師がいない施設のほうが多いのです)

そこで息子さんと面談し
現在の状況と、今後おこる状況につき説明をおこないました。
息子さんの口から出たのは・・・。
Yさんは昔から自分勝手なことばかりやってきた。
家族はみんな迷惑を受けてきた。
癌になったのも自業自得だと思うんですよ。
延命治療は望まないし、病院も希望しない。
自然に、ここで看取って欲しい。
これが家族の希望です。
本人も入院は希望していないと思います。
このホームがいいと思っているはずです。

その面談の翌日、ついに癌が皮膚を食い破りました。
出血はほとんどみられないのが幸いでした。
今では、癌の悪臭をおさえる塗り薬(ロゼックスゲル(R))が発売されています。
それで対応をしていきます。

癌はさらに進行して、飲み込むことが出来なくなってきました。
痛みも次第に強くなり、貼り薬のオピオイドに変更して対応します。
何とか痛みは抑え込むことが出来ました。
そうして、Yさんは安らかに施設でお亡くなりになりました。
ひどい出血や、ひどい悪臭になることもなく、
痛みに苦しむこともなく最期をすごすことが出来ました。

Yさん、最期まで住み慣れた施設にいられて、よかったですね。

下蒲刈島のレモンシロップ
これを炭酸水で割って飲むとおいしい
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★インフルエンザ情報
新しい情報はありません。
手洗い、咳エチケット、よろしくお願いいたします。
高齢者がインフルエンザになると、死亡することもあります。
咳や熱のある人は、病院や施設に見舞いに行かないでください。

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