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日米の高血圧治療の違い

2011年02月22日  

昨日の続きです。

日本の特殊事情、
あるいはアメリカの特殊事情について。

日本では高血圧のときに、
血管拡張作用のある「カルシウム拮抗薬」というものが
使用されることが非常に多かったのです。
アメリカでは、高血圧にはまず利尿剤が使用されます。
日本では利尿剤はほとんど使用されません。
日米で大きな違いがあるのです。

それはなぜかというと
医療費が日本とアメリカでは大きく違うからです。

アメリカでは医療費が非常に高く、
まずは安い薬しか使用しません(使用できません)。
利尿剤は古い薬なので、非常に安いのです。
(同様にアメリカではアスピリンをよく使用します、安いですから。)

しかし、利尿剤は
尿が近くなるので、日本人ではイヤがる人が非常に多いです。
単独での降圧作用も、そんなには期待できるものではありません。
おまけに、糖尿病によくない、という利尿剤もあったりします。
というわけで日本では利尿剤の評価は高くありませんでした。

ですから
カルシウム拮抗薬が出た時、
日本では利尿剤はすたれ、多くの医師がカルシウム拮抗薬を第一選択としました。
国民皆保険なので、いい薬が安く使える、ということなのです。

しかしながら、
ためしてガッテンでも指摘されたように、
必ずしも全員がカルシウム拮抗薬で良い結果になるとは限りません。
その後に開発されたACE阻害薬やARBという薬のほうが
血圧のメカニズム的には合理的かもしれないです。
(今では、もっと新しい機序の薬も出ています)。

利尿剤がそれなりの効果を持つことも事実ではあります。
そこで、
「これまでの降圧剤に、ほんの少し利尿剤を上乗せしていく方法」がとられます。
この目的のため、少量の利尿剤を配合した製剤が出てきています。
これは
効果が期待できる、ということのほかに
薬の特許切れを防ぐことができる、
という製薬会社側のメリットがあるのです。
むしろ、その理由のほうが大きいかもしれません。

アメリカでは、特許が切れたら薬はほとんど後発品に切り替わり
先発品はまったく売れなくなります。
アメリカでは高い薬は医療保険会社から使用が認められないのです。
ですから、小手先の変更であっても、新薬を出し続ける必要があるのです。
これに対し、
日本では、いい薬であれば古い薬でも使用します。
特許が切れたらいきなり処方されなくなる、ということはありません。

日米の保険制度の違いが、日米の高血圧の薬の違いとなっているのです。

日本の医療制度が世界一、とWHOが認めています。
アメリカは日本の医療制度を見習って何度も医療改革をしようとしていますが
既得権勢力から毎回つぶされているのです。

みなさん、
医療制度に多少の不満はあるでしょうが、
でも日本の医療制度は世界一なんですよ。
日本に住んで幸せだな~、と思って下さい。

だるま寿司別館 昨年の忘年会のときの写真
ふぐ唐揚げ
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