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本日は、福島を考える

2013年03月11日  

昨日は、4週間ぶりに仕事のない日曜日。
の はずだったのですが、
一人、在宅での看取りがありまして、
結局 まったくのフリーの日ではありませんでした。
次週からまた休みなしが続きます。
がんばろう!

さて、
今日は、何と言っても東北大震災を考える日でしょう。
テレビでは1週間くらい前から、各局ともシリーズ特番を組んでいます。
被災者の方々は、忘れられることが一番こわいのです。
ぜひ、それぞれの立場で、考えてみてください。

地震について。
私ども医師というのは科学者ですから
「可能性はゼロ」なんていう評価はしませんし、出来ません。
M9の巨大地震が来る可能性はゼロ、とか
○メートルの津浪が来る可能性はゼロとか
そんなことは科学者は言いません。
いろいろな可能性を頭に置いています。
科学が進歩する、というのは
○○の可能性は「どれくらいの確率」であるか、
ということが言えるようになる、ということです。

そういう意味では
原発について
大きな地震はこない、とか
大きな津波は来ない、とか
全電源喪失の事態は考えなくてよい、
と言っていた人たちは厳しく断罪されるべきです。
国会という公の場で、地震・津浪・全電源喪失の可能性を指摘され
そんな心配はない、と公の場で答えているのです。
その責任者は電力会社の社長なわけですが、
いまだに断罪されたという話はありません。
電力会社は今も
活断層を指摘されても
活断層ではない、原発は安全だ、
などと言っています。

福島原発震災については、
報道のインタビューの中で
福島原発からの避難者の方が
「こんなに避難生活が長くなるとは思っていなかった」
という発言を まだ されていました。
家や街並み、あるいは山や田畑は
以前と同じように存在しているように見えるでしょう。
でも、目に見えないけれども、放射線物質に汚染されています。
もう、この先何百年も、人間が住めない場所になったのです。
少なくとも、あなたの子孫4-5代くらいは
すめる場所ではなくなったのです。

あなたや孫・子の世代で
元の家に帰ることは出来ません、と
はっきり伝えてあげることが必要です。
これは、現在の汚染状況と、放射性物質の半減期で計算すれば
はっきりと数値として出してあげることができる話です。
何年後の放射線量はこれくらいである、と。
基準値以下になるのは何年後になる、と。

津浪に襲われた集落も
原発に襲われた集落も
いずれも集団移転をするしかありません。
その集団移転が遅い、というのが問題です。
いまだに仮設住宅にいることがおかしいのであって、
次の段階にうつっていないのが問題なのです。
移転した先で、新たなコミュニティを形成していく。
スピード感をもっておこなっていくことが必要です。

除染作業というのも、ムダです。
砂場や海岸で砂を掘って穴をつくっているようなものです。
掘ったまわりから次々砂が落ちてきます。
掘っても掘っても、キリがないのです。
ある集落で、詳細に放射線測定をやっていた話がありました。
地区全体としては放射線量は減ってきた。
これは時間がすぎ、半減期がすぎれば放射線量は減るので当然です。
しかし、逆に放射線量が増えているエリアがある、と。
山の上の方から、下の谷筋のほうに放射性物質が流れ落ちてきている、
ということです。
当然のことですよね、
雨や風で上から下に物質は運ばれていくのですから。
で、
山の上ではなく、ひらけた谷筋で人は生活をしている。
人が生活する場所が、放射性物質が集まる場所なのです。
いくら除染をしたところで
次から次から、上から放射性物質は流れ落ちてくるのです。
除染作業はムダであり、キリがないのです。
除染に人とお金を投入するのは無駄なことです。
除染をするのではなく、
新たな移転先を確保し新生活をはじめてもらうべきなのです。
シイタケなどは、いまだに放射線基準値を超えており
今後いつになったら出荷できるのか、見込みはありません。
住む、ということについても
働く(農業)、ということについても
当分出来ないという状況は続くのです。

私たちは今回の震災から学ぶことは多いです。
原発についていえば、
住み慣れた場所で自分らしく生活したい、
ということと
原発の誘致は
両立はしない、ということなのです。

住み慣れた場所で自分らしく生活したい、
というのを支えるのが医師としての私どもの仕事です。
原発への立ち位置はどうあるべきか、
明確なのです。

***
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とき:  3月17日(日)13:30
ところ: 広島市中区吉島公民館3階大集会室
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申込みはメールまたはFAXで
info@origuchi-naika.jp
FAX:082-241-6856
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★インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。

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