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高額医薬品のせいで国民皆保険が崩壊する

2016年01月26日  

寒いですね。
昨日は本当に久しぶりに往診・訪問診療がなく
車で外に出ることがありませんでした。
2週間前の1月11日が祝日だったのです。
安定している在宅患者では、訪問診療は2週間毎のことが多い。
祝日があれば、その日を避けるように訪問スケジュールを調整します。
ですから11日に訪問診療がなく、25日にも予定患者がいなかった、というわけです。
道路状況が悪い中の往診・訪問診療がないため、
危険な状況に出くわすこともなく よかったです。

さて、
甘利大臣。
金銭を受け取った、ということを即座に否定してはいないようです。
記憶を確かめる、というような発言。
アウトのような・・・。

ところで
以下のニュースを、みなさん どう思われますか?

高額医薬品4種類、最大25%~50%値下げ 16年度から厚労省
日本経済新聞2016/1/20
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS20H34_Q6A120C1EE8000/

国民皆保険は、高額医薬品のせいで崩壊の危機にあります。
今回 日経で報道されている薬は、C型肝炎の治療薬です。
C型肝炎ウィルスを消滅させることが出来れば肝臓癌になる患者を減らせる。
使用期間も限られており、一人 年間500万円程度の薬剤費です。
C型肝炎の人に治療が一巡すれば それでこの薬の役割は終わりで、
その後はほとんど使用する患者はいなくなります。
この薬による国民医療費負担は、せいぜい数年間で終わるのです。

そして
日本では、薬の実売価格に公定価格(薬価)を合わせていく、
引き下げていく、という政策がとられます。
今回の日経ニュースは、その価格引き下げについてのニュースなのです。

ところで
こうした「実勢価格をもとに薬価引き下げ」というのが
日本ローカルルールと判断されれば どうなるか?
TPPだと、ローカルルールは認められないかもしれません。
TPPでは薬価改定がどうなっているのか、TPPでどういう約束事になるのか。

もし、薬価の引き下げルールがTPP後には適用されない、
となると
特許が切れるまで、高薬価のまま薬剤を使用し続けるしか なくなります。

もっと高薬価の薬が、登場してきます。
癌治療で「PD-1」をターゲットにした抗体療法が
肺がんなど、多くの癌に適用されそうな状況にあります。
PD-1抗体の医薬品だと
一人年間1500万円前後 かかります。
しかも、生きている間、薬が有効な間、
2年でも3年でも使用し続けないといけなくなります。
肺がん患者は年間7万人が死亡しています。
このうち5万人が このPD-1薬を使用するとして
2年後には10万人が使用する状況になります。
この薬たった1剤だけで、年間1兆円を超える国民医療費が
増えてしまう、ということになる可能性が十分にあります。

今回の日経ニュースで報道されたように
「実勢価格」に合わせた薬価改定 が TPP後にうまく作動しないとなると
TPP後に 高薬価医薬品のために日本経済が沈没する、
国民皆保険制度が崩壊する、
という危険性がある、ということなんです。
ちなみに、このPD-1薬というのは 海外の製薬会社の薬です。

TPPで、今後 日本の医療はどうなるのか?
上記シナリオは成立するのか、そうはならないのか?
国民にしっかり説明していただかないと困るんです。


東京駅にて
賛否両論弁当。タイトルがすごいですね。
おいしかったですよ。

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★新型インフルエンザ情報
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