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がん診療の地域連携

2010年10月8日 , 

昨日は県立広島病院で開催された がん医療従事者研修会に参加しました。
タイトルは
「いよいよ始まる!パスを用いたがん診療の地域連携」
です。

患者およびがん拠点病院と、地域で患者を支える診療所・病院が
同じ理解で診療をすすめていくために
「地域連携パス」 というものを作って
それに従って診療していきましょう、というものです。
「パス」 とは、「クリニカル・パス」とも言いますが、
検査や受診などの診療の予定スケジュール、計画のことです。
たとえば
退院して1ヶ月後に血液検査しましょう、
退院2ヶ月後にはレントゲン撮りましょう、
退院3ヶ月後にはCT検査をしましょう、
退院4ヶ月目には・・・・、
といった感じの計画です。

まずは5つの主要な癌からのスタートです。
胃がん、乳癌、大腸癌、肝癌、肺癌。
乳癌では
広島ブログで over the rainbow を書かれている
角舎先生が説明をされました。
http://tkadoya.blog95.fc2.com/blog-entry-212.html

がん患者が、全員がん拠点病院で診療を受けなければいけない、
ということはありません。
経過がよければ精密検査は3ヶ月に1回でよかったりします。
その間、カゼひいてしまった、とか
便秘した、下痢した、ちょっと食欲が落ちて点滴希望、
なんていう時には
大病院に出向き何時間も順番を待つ必要はなく、
近所の医療機関で受診すればよいのです。
また、ある程度 経過良好であれば
血液検査程度のことであれば これも大病院で受ける必要はありません。
血液検査項目という情報さえ共有していれば
これも近所の医療機関で採血してもらえばよいのです。

そして、
近所の医療機関(=かかりつけ医)は、その情報
(診察した情報、血液検査データなど)を
がん拠点病院の担当医にお知らせすればよいのです。
もちろん
急な精密検査が必要な場合や、入院を要する場合には
いつでも担当医に連絡し手配してもらうことができます。
これが
がん診療の地域連携 と呼ばれるものです。

がん拠点病院のメリットは
・不要不急の外来患者が減れば、医師は患者さんにゆっくり時間をかけて診療ができる。
手術、検査、抗がん剤治療や、患者家族への説明に、腰をすえてじっくり取り組める。
・勤務医の過労死の防止につながる。
(外来患者が多すぎると、外来診療に追われ休憩もとれず昼食もとれないまま
午後の診療や手術、検査に入ることになり、終わるのは連日夜10時頃
というのが現在の大病院勤務医の姿です。
当直勤務の翌日は17時に終業できる環境を整えよう、という取り組みをはじめたところです。
これでも連続33時間勤務なんですけどね。)

患者さんのメリットは
・大病院と縁が切れるわけではない。
(担当医が検査や受診のスケジュールを指示しています。)
いつでも入院や精密検査ができるという安心感。
・病院を受診した時には、ていねいな時間をかけた説明を受けることができる。
・地域かかりつけ医は、担当医からの情報を共有しているので話が食い違うことがない。
ちょっとした診療なら近い・待ち時間が少ない地元で安心して受けられる。
・地域のかかりつけ医であれば往診や訪問診療に対応してもらえる。
(大病院の担当医は、往診に対応することは不可能です)

患者さんを、拠点病院だけでなく地域で支えますよ
という取り組みです。
ぜひ御理解ください。

二次会はDOING
http://bar-doing.com/
シャーリーテンプル。ノンアルコールです。
nijikai.jpg
★インフルエンザ情報
インフルでの休校などは4校 というお話。
医療介護CBニュース 10月6日(水)21時41分配信
厚生労働省によると、インフルエンザの流行のために、9月26日-10月2日の週に新たに休校などの措置を取った学校数は4校だった。
内訳は、休校1校(熊本県)、学年閉鎖1校(三重県)、学級閉鎖2校(東京都、千葉県各1校)。
前週は学年閉鎖1校のみだった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101006-00000012-cbn-soci

学年閉鎖、学級閉鎖はボツボツ出ています。
休校、というのは なかなかありませんが
それだけ大きく流行している、ということでしょう。
ワクチン接種ははじまっています。
公費負担のある高齢者の接種は15日からです。
早めにワクチンを受けましょう。

中国でニセ狂犬病ワクチン

ノーベル化学賞、日本人2名同時受賞。
おめでとうございます。
緩和ケア医は、この分野はあまり知らなかったのですが
さすがに緩和ケア薬剤師は 薬剤師だけのことはあり
ノーベル賞の受賞理由や、その内容につき
ぴったりの解説をしてくれました。
これをきっかけに自然科学への興味をもつ子供達が
増えてくれればいいなあ。

さて、
外交面で中国といろいろ報道されています。
外交については公表できる部分と、数十年間は公表しないほうがよい部分があるので
今ごちゃごちゃ政府を追及しても何にもなりません。
でも、日本の主張と中国の主張が食い違っていることは確かです。

話を変えて
中国では、野菜に農薬がたっぷり、とか
ウナギや鳥などに抗生物質がたっぷり、とか
玩具から鉛が検出、とか、
いろいろな事件がおこっています。

「正義」 に関する意識が、世界じゅう日本人と同じ、と思ってはいけない、という実例です。
日本の常識として「そんなこと、ありえないだろう」ということが
他の国では起こっていたりします。

医薬品は命にかかわるのでニセ薬はないだろうか、といえば
医薬品分野でも
漢方薬の中にバイ○グラ成分がはいっていたり
ステロイドが含有されていたり、という事件は頻繁におこっています。

「他人の命」よりも「自分のお金」を第一に考える人がいる国がある
ということを知っておくことは必要です。
日本の常識では考えられない国がある、という事実。

今回は
中国で狂犬病ワクチンの偽物が出回った、というお話。
狂犬病は、いったん感染してしまうと治療薬はないため
命に直結してしまうので
ワクチンは非常に重要なものなのですが
そこに偽物が登場するとは。
中国では年間2000人程度が狂犬病で死亡しているそうです。

以下、記事。英語です。
http://english.cri.cn/6909/2010/09/26/1821s596358.htm

そんな国との交渉には
「そんなこと、言わないでもわかっているだろう、わかってくれるだろう」
という態度ではダメでしょうね。

むろか の さんま棒寿司。
持って帰って緩和ケア医の夜食になりました。
gohan.jpg
★新型インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。

肺癌の取り扱い規約が変わります

2010年10月6日 , 

他のチームの外国人助っ人は、よく打ちますなあ。
安打数、ホームラン数、打点。
それに比べてカープの助っ人は・・・。
カープの戦力を見ると、
外国人助っ人野手は必要がありません。
来年は助っ人は投手だけで十分戦えますよ。
来年も応援に行きましょう!

さて、
本日のお勉強は上級編。
2010年11月の最新版にて、
肺癌取り扱い規約が変わります。
今回改訂の特徴は、世界で統一された規約になる、ということです。
(世界統一されてなかった、というのがオドロキ)

たとえば
癌の大きさ(直径)による区分がかわります。
これまでは大きさ3cmをこえるかどうか、が問題で
小さければT1,大きければT2でした。
(癌については、TNM分類をおこないます)
今後は
T1a 2cm以下
T1b 2cmより大きく、3cm以下
T2a 3cmより大きく、5cm以下
T2b 5cmより大きく、7cm以下
T3  7cmより大きい
というように細かく分類されることとなり、
しかも、大きい癌はT2ではなくT3に分類されるようになります。

悪性胸水、悪性心嚢水についても、
これまではT4、 Stage3B だったものが
今後はM1a、 Stage4 になります。
(癌の進行度については病期分類=Stage分類=をおこないます)

これまでの分類と違ってきますので、
統計データをよむときには注意が必要となります。

治療の選択肢について本人・御家族に説明するときにも
これまでとは違った説明になることも予想されますが
新しい規約による統計データが出てくるのは少し先のことになります。

癌治療医にとって取り扱い規約を勉強するのは当然ですが、
緩和ケア医にとっても 生命予後(=寿命)を予測する情報の一つとして重要ですので
しっかり勉強しています。

むろか の 秋刀魚の焼きモノ、舞茸と肝のソース
と ライスコロッケ
sannma.jpg
★インフルエンザ情報
昨年度、インフルエンザのワクチン接種や診療で小児科が大混乱しました。
それを解消するために、
中学生のインフルエンザ診療を内科でも、
というように内科医会に小児科医会から協力依頼があり
当院でも中学生のワクチンや診療に協力してきました。

今年は小児科が大混雑する状況にありませんので
今年のワクチンは高校生以上に限らせていただきます。
中学生以下の方は小児科でお願いします。

国民健康保険証が変わっています

2010年10月5日  

10月から国民健康保険の保険証が変わっています。
1家に1枚、ではなく
1名に1枚となります。

広島市ホームページ
http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/0000000000000/1182928320215/index.html

毎月最初の受診日に
健康保険を受け付けに提示をするようお願いします。
「保険証番号なんて変わってないよ」、
と言う方もおられますが
実は変わっている、ということがよくあるのです。
「あれ、本当だ、変わっている」、
なんていうことは しょっちゅうです。

保険証の毎月確認、よろしくお願い申し上げます。

むろか の 刺身盛り合わせです。
ホタテ刺身、サンマなめろう、ほか。
小さくてもトコブシではなくアワビ。
tukuri.jpg
★インフルエンザ情報
今年の猛暑で、ワクチンの製造が遅れている、というお話。
Yahooニュース 時事通信 10月4日(月)4時11分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101004-00000010-jij-soci

インフルエンザワクチンは鶏卵から製造されますが、
あまりの猛暑にニワトリが卵を産まなくなり
予定の鶏卵が確保できず
製造スケジュールに遅れが出ているそうです。

今のところはワクチン希望者は例年どおりのペースですので
たちまち品切れになる状況ではありませんが
10月末から11月はじめ頃には欠品するかもしれません。

ハイリスクの人は早めに接種を受けておきましょう。

大江健三郎氏講演会に行きました

2010年10月4日  

10月2日(土)は、
アステールプラザ大ホールで大江健三郎さんの講演会があり
参加してきました。
ノーベル賞(文学賞)受賞者であるとともに
広島とも非常につながりの深い方です。

広島に来るとき、用意していた切符が見つからず
新幹線切符を買い直して広島に来られたそうです。
そのお話からはじまって。
これには息子さんの大江光さんがかかわっていた話。
大江光さんがカープファンである話、
光さんが広島を題材にした音楽作品を作った話などへ広がり、
そうして本題へ展開していきました。

いろいろな問題に触れられましたが、
2点のみ御紹介します。
1:広島について語るときに、
ヒロシマ、ナガサキは世界で最初に原子爆弾の被害を受けた都市である
という表現をされる方がいる。
そうではなく、もっとポジティブに、
ヒロシマ、ナガサキは原子爆弾の被害を受けた最後の都市である、
(=核兵器は廃絶されたので今後二度と核兵器による被害は出ない)
と言えるようにならなければいけない、
というお話をされました。
核兵器廃絶は、私が社会的に活動できる10年以内の実現は無理だろうけれども
20年25年先には実現は可能である、と話されました。

2:若いうちに、人間的にすばらしい尊敬できる人に出会うことが大切だ
ということをお話されました。
大江健三郎さんは2人の名前を挙げられ
フランス文学者の渡辺一夫さん、
広島赤十字病院院長の重藤文夫さん に出会えたことで
その後の人生に大きな影響を受けた、とのことです。
28歳のときに重藤院長に出会い長時間のインタビューをおこなったそうです。

私は、若者に対して、信頼してもらえる・尊敬してもらえる生き方を
しているでしょうか。
もっとがんばらないといけないな、と思いました。

大江健三郎さんの 「ヒロシマ・ノート」
もう一度読み直しておかなければ、と思いました。
たぶん家の中で行方不明になっているので
近いうち書店で購入しましょう。

ツユマメさんオフ会の会場は 居酒屋むろか。
http://www.muroka.com/
さんまバーガー。
小さくてかわいいバーガーですが、確かに匂いはサンマ。
muroka.jpg
★インフルエンザ情報
高齢者のインフルエンザワクチンの費用は
自治体が一部を負担してくれます。
このため高齢者の自己負担金は
広島市や廿日市市では1000円です。
高いな~、もっと安くすればいいのに、と思う方もいるでしょう。

でも、広島は、市ががんばっているほうなのです。
京都市では65歳以上の自己負担は1500円。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101002-00000036-kyt-l26

福岡市では1200円です。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100930-00000232-mailo-l40

広島市長、がんばっています。応援しましょう!

ツユマメさん主催のオフ会

2010年10月3日  

昨夜はツユマメさん主催のオフ会に参加してきました!
初対面の方が7名でしたが…泣いたり笑ったりしました。
在宅看取りについて日頃思っておられることをお尋ねしたり、
緩和ケアはヒトゴトではなくて、
自営業だからなおさら痛みを取って仕事の整理しなくては、
と話し合ったりしました。
子育ての話や同じ保育園に上の子と下の子が入れないことが多いとか、
産後育児不十分だと登校拒否になって悔やんでおられる先輩の話とか、
自営業だからこそ役員を引き受けるべきとか、
本当によくしゃべりました!
5時間余り!
それを送迎してくださる夫のみなさま、お疲れ様でした。
我が家では、初対面でよくそんなに話すことがあるねえ!
とほめてもらいました。
あ~~久々の楽しい時間をツユマメさんはじめみなさま、ありがとうございました!

写真はこのオフ会でのウーロン茶。
tuyumame.jpg
★新型インフルエンザ情報
三重県四日市で学年閉鎖
http://mainichi.jp/area/mie/news/20101001ddlk24040227000c.html

四日市ではA香港型が検出されているようです。

今年はA香港型と、新型2009A/H1の両方が流行すると思っています。
A香港のほうが症状は重いです。
基礎疾患のある人などは、ぜひワクチンを受けましょう。
(小児、妊婦、高齢者、心肺腎疾患、糖尿病、癌の人など)

インフルエンザワクチン接種開始

2010年10月2日  

インフルエンザのワクチンですが、
いつ入荷するのか医薬品卸からの説明では
9月末時点では「未定」との回答でした。
ところが昨日午後に配送され届きましたので、
当院での接種、開始いたします。
高齢者等で公費負担のある方については10月15日から開始です。
とくに予約はしなくても今年は十分在庫数量はある見込みです。
昨年は、季節性ワクチンと新型ワクチンとが別々でしたが、
今年は季節性ワクチンの中で新型対応していますので
13歳以上については1回接種でよいです。
防腐剤のないワクチンが打ちたい(妊婦など)、
とか
鶏卵アレルギーがある、新型だけのワクチンを打ちたい、
などの特別な事情・特別な希望のある方は御相談ください。
予約制になりますが、取り寄せることができます。
(当院では高校生以上の方のみへの対応とさせていただきます。)

10月1日の14時に
厚生労働省ホームページにインフルエンザのワクチンについて
アップされています。
興味ある方は厚生労働省ホームページを御覧ください。

さて、各紙のニュース。
10月1日からワクチン接種開始
9月30日佐賀新聞
http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.1735156.article.html

各紙のいろいろな報道を読んでみると
佐賀県や熊本県などではワクチンは県内一律公定価格3600円、のようです。
広島市では、各医療機関の自由価格(3600円を超えない範囲)、となっています。
自由価格にする、という決定も、市町による価格設定と言えるものでしょうか?
自由価格のほうが、一律公定価格よりも安いです。

それと気になるのは
佐賀県でインフルエンザ患者が29日時点で17人出ている、とのこと。
新型インフルエンザ2009A/H1 だそうです。
大流行の前触れは九州からでしょうか?

そごうの北海道展
北海道展といえば そごうが有名ですね。
ステーキ弁当。肉が軟らかいです。
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インフルエンザ新薬2

2010年10月1日 , 
タバコ、本日から値上げです。
値上げ前に禁煙治療を開始された人がたくさんおられます。
次は
値上げ前に買いだめしたタバコがなくなるとき、
が 禁煙に踏み切る良い機会です。
買いだめタバコが残り数箱になったら
医療機関を受診して禁煙治療をはじめませんか?
(受診したその日から禁煙するわけではありません)

さてインフルエンザ新薬。
もう1種類のインフルエンザ新規治療薬は
ラピアクタ(R)、点滴です。

薬効はノイラミニダーゼ阻害薬であり
タミフル、リレンザ、イナビルと同じ、ということになります。

使用方法は、通常患者では300mg点滴1回。
重症患者では1日1回600mg、症状に応じ連日反復投与。
15分以上かけて点滴します。

***
腎臓排泄の薬剤ですので、腎機能の悪い人は減量。
高齢者も腎機能が悪いことが多いので注意。

胎盤移行性、乳汁移行性あり(ラット等のデータ)。

新生児、乳幼児、小児への安全性は確立していない。
***

以上から考えると
もし使用するとすれば一般成人(妊婦授乳婦をのぞく)ですが、
内服や吸入が可能な人は、そちらの薬が優先されるべきでしょう。
そうなると
・成人で内服・吸入の指示に従えない人
(=意識障害のある人、認知症のひどい人など)、
・重症で人工呼吸が開始されているような人
が対象となると考えます。
小児についても、入院を要する重症者のみが対象となりうるでしょう。
最後のとっておきの切りふだ、という位置づけになります。

一般の診療所、病院の外来受診で使用すべき状況になるとは思いません。

「1回ですむ点滴があるそうじゃないか、それを打ってくれ」
とは言わないようにお願いいたします。
(当院では、上記判断からラピアクタは常備しません。
不適切に薬剤を使用していると耐性ウィルスを作ってしまうことになりますので
せっかくの新薬剤の寿命が短くなります。)

点滴は最後の切り札、重症入院患者や集中治療室で使用するもの
と考えておいてください。

写真は ラピアクタ(R)適正使用文書の表紙。
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インフルエンザ新治療薬1

2010年09月30日 , 

インフルエンザの新規治療薬が出てきています。
当院では、スタッフなどの意思統一のためもあり勉強会をしています。

1日だけの吸入でよい、という薬がでました。
イナビル(R)。
これで、タミフル内服5日分、リレンザ吸入5日分 に匹敵する効果です。
長期間作用型の薬剤です。
純国産の治療薬(第一三共)であり、輸入品ではありません。
心情的には応援したい薬です。
10月中旬の発売となりました。
Yahooニュース 医療介護CBニュース 9月29日(水)22時39分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100929-00000016-cbn-soci

薬効としては、タミフル、リレンザと同じノイラミニダーゼ阻害薬です。
このため発病後48時間以内に使用することが大切です。

使用方法は
1個の吸入器に、薬剤トレイが2個あり、2回の吸入をおこないます。
10歳以上では吸入器2個、4回の吸入、
10歳未満では吸入器1個、2回の吸入をおこないます。
吸入は3歳児程度でも吸えるくらいの力で十分、とのことです。

メリットは、
何と言っても単回吸入でよいことです。
たとえば認知症気味の高齢者について、
目の前で吸入してもらえばよいのです。
リレンザ毎日ちゃんと吸入しているか、タミフル毎日ちゃんと内服しているか、
確認する必要がなくなります。

認知症がひどかったり、乳幼児だったりして
吸入の指示に従えない人はダメですね。

胎盤移行性、乳汁移行性はあるそうです(ラット等のデータ)。
授乳中であれば授乳は中止。
妊娠中であれば 「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与」
ということになります。

まあ、妊婦、授乳婦にはタミフルですね。
タミフルは安全とされています。
その前に妊婦授乳婦(その予定の人)は、ワクチンを受けておきましょう。

写真はイナビル(R)説明用パンフレット。
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★新型インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。

ポリオワクチンに問題あります

2010年09月29日 , 

今週月曜日、ポリオワクチン接種に出務してきました。
会場は中区の吉島福祉センターでした。
ポリオは日時を決めての集団接種です。

小児のワクチンですので、
本来の担当は小児科医がおこなうのですが、
今や小児科医は「絶滅危惧種」と言われて人数が減っています。
小児科だけにワクチン事業をまかせたのでは、
小児科医師への負担が大きすぎます。

そこで、
内科等にもワクチン事業へのお手伝いの呼びかけがおこなわれています。
小生(緩和ケア医)は内科なんですが
感染症に詳しい医師ということで
地元での接種協力に手を挙げた、というわけです。
(私はJA広島総合病院のICT(感染症対策チーム)メンバー、
広島県の感染症対策委員会、結核審査会委員などつとめてきました。)
感染症に詳しいといっても
ポリオワクチンの接種事業は今回はじめてです。

ポリオについては
下痢していると効果がなくなる可能性があります。
そのほか、
現在なにか感染症にかかっていないか、
他のワクチンとの接種間隔、なども問題になります。
説明書をよくお読み下さい。
当日も、接種延期で小児科医を受診するように
という判定となった方が何人かおられました。

ところで
現在のポリオワクチンは、生ワクチンで
口の中にスポイトのようなものでポテッと入れます。
しかし、世界的にみれば生ワクチンを使用している先進国は日本くらいのもの。
他の国ではとっくの昔に不活化ワクチンに変更になっています。
生ワクチンだと、マヒを生じる方が出てしまうのです。

日本ではポリオの自然発生はありません。(ゼロと考えてよいです)
しかし、ポリオワクチンによりマヒとなる人は出ています。
ワクチン行政は世界標準から明らかに立ち後れているのです。

保護者のみなさんも問題意識を持ちましょう。
日本でも早く安全な不活化ワクチンを!
と声を上げるようにしてください。
声が大きくならないと日本の行政は変わってくれません。

たとえば以下のサイト。
【厚労省】不活化ポリオワクチンの開発を国内4社に要請
http://www.yakuji.co.jp/entry18816.html
ポリオの会
http://www5b.biglobe.ne.jp/~polio/vaccine.html

今週の花 ノウゼンカズラ、アメジストセージ
konsyuu.jpg
★新型インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。

082-241-6836(代表)

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平日午後(診療時間内14:30~18:00)