心に残る出会い58 遺言状作成が間に合ったKさん
毎月最終日曜日は、心に残る出会いの御紹介です。
Kさんは64歳。
子宮平滑筋肉腫で抗がん剤治療をおこなってきましたが、
薬の効果はみられませんでした。
肝転移、肺転移もおこし
胸水がたまってきました。
胸水を抜いて、息苦しさは一段落。
「家に帰れるタイミングは今しかない」、
ということになり、
退院前カンファレンスで当方とはじめての出会いです。
訪問診療、訪問看護の手はずをととのえ
急いで退院となりました。
ところが、
痛みは次第に強くなり、
動けば息切れもひどくなります。
また胸水が増えてきているのです。
(呼吸器科の医師ならば、レントゲンを撮らなくても
何の機械がなくても胸水の量はわかります。)
オピオイド(医療用麻薬)を増やし、在宅酸素も開始。
そして御自宅で胸水を抜く処置をおこないました。
病院でおこなう治療・処置のほとんどは、在宅でも実施可能です。
しかし、思ったほどの量が抜けません。
血液混じりの、ドロドロにネバい胸水です。
入院中にも胸水は少量しか引けなかったので
胸の中で何カ所かに分かれて血液混じりの胸水が貯まっているようです。
悪性腫瘍の場合には、胸水に血液が混じることはよくあります。
このため、何日かおきに場所を変えながら胸水を抜く作業が必要でした。
家に帰って10日目、息苦しさとしんどさがひどくなり、
最後の決断をせまられる時がきました。
このまま家ですごすか、再度入院するか。
明日、遺言状作成のための公証人が来ることになっていました。
「明日入院したい、公証人には病院に来てもらうようにする」、
Kさんはそう決断しました。
私から病院に連絡し、ベッドを確保してもらいます。
翌朝に入院しましたが、息苦しさはかなり悪化しています。
公証人に、とぎれとぎれの声で、思うことを伝えます。
その翌日、Kさんはお亡くなりになりました。
Kさん、遺言状作成が間に合ってよかったですね。
あとは遺言を託された人が、ちゃんとやってくれますよ。
当院の今年のグリーンカーテン
とけいそう が咲きました。
現在咲いている花は、赤とピンク(サンパラソル)、
青(あさがお)、白(とけいそう)、黄(ゴーヤ)です。
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