心に残る出会い27 直腸癌のYさん
昨夜は広島市医師会夜間急病センターで勤務でした。
今シーズンはじめてインフルエンザ陽性が出ています、A型。
これから流行期に入ります。
うがい手洗い咳エチケット、よろしくお願いしますね。
本日は長尾先生の講演会を主催。こちらもよろしくお願いいたします。
Yさんは89歳。
痔出血かと思い近くの病院を受診したところ直腸癌でした。
家族が「名医番組」をテレビで見て、関東の大学病院の有名教授を受診、
手術を受けました。
定期的に経過観察されていたのですが、1年後に再発。
その時点で膀胱・骨盤壁に浸潤しており切除不能でした。
腫瘍には手を付けられず、人工肛門を作成するだけで手術を終了していました。
御家族には余命半年はない、徐々に疼痛などが生じるであろう、と伝えられ、
退院後の管理をする体制をとるように言われ
当院に依頼がありました。
退院し広島の自宅に戻って在宅療養の開始、
当方とのはじめての出会いです。
本人には、詳細な説明は行われず、
本人は手術はうまくいったと思っていました。
このため、今後悪化したときに緩和ケア病棟を希望されるかどうか、
などの話は出来ていない状況でした。
以前に前立腺の手術入院をしたT病院がよかったので、
御家族は、調子が悪くなれば、T病院への入院希望がありました。
本人さんとの関係が出来てきたら
いずれボチボチと今後の希望を聞き出してみましょう、
ということでおこなってきましたが、
Yさんは次第に食欲はなくなり、どんどんやせてきました。
栄養食品も使用していたのですが、
それもたくさんは飲めなくなってきました。
T病院に一度は御家族だけでもお話に行かれた方がよさそうですよ、
ということになったのですが、
御家族も忙しく、本人もまだ元気そうに受け答えしていたので
まだ手続きができていませんでした。
ある日、夕食時間に御家族がベッドに行ってみると
Yさんは息を引き取っていました。
とくに痛みで苦しむようなことはなく
自宅で最期まで生活することができました。
本人が病院や緩和ケア病棟を希望されていたのかどうか、
結局誰にもわからないままでした。
葬儀の希望について(家族葬にするか、盛大にするか)
娘さんが本人にいずれ聞いてみよう、と思っていたそうですが
それも聞けないままでした。
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