口蹄疫 のお勉強
現在、宮崎県で口蹄疫が発生しています。
広島にいると よそ事 のように思うかもしれませんが、
これは大問題です。
ちょうど専門学校で今月は感染症の講義をしていますので
ちょっと調べてみました。
詳しいのは動物衛生研究所のHPにある総説(1997年)です。
論文ですので、ある程度の専門知識・基礎知識がないと読み込めないと思いますが
ぜひ読破にチャレンジしてみてください。
http://www.niah.affrc.go.jp/disease/FMD/sousetsu1997.html
1:人に感染するか?
口蹄疫は人畜共通感染症です。
つまり人に感染するか感染しないか、と問われると
人にも感染する、というのが答えになります。
しかし、感染する率は非常に非常に低く、
現実的には感染しない、と考えていいです。
1900年初頭に、痘瘡ワクチンに口蹄疫ウィルスが混入していた事件があったそうですが
その接種を受けた人に とくに大量患者発生の報告はなかったそうです。
つまり、直接、強制的にウィルスを人体にぶち込んでもほとんど発病しない。
仮に感染すると、ヒトの手足口病と区別できない症状となるそうです。
2:どのように対応するのか?
口蹄疫は、感染性が非常に強く、しかも早期発見が困難な感染症です。
陸上で60km、海上では250kmほど風で伝播するそうです。
韓国で口蹄疫が発生していましたから、そこから来たのかもしれません。
蹄 というのは ひずめ のことです。
典型的には鼻、口、ひずめ周辺などに水疱ができ、
そこまでくれば診断ができますが、
水疱形成の4日前から乳汁中にウィルスが大量に排出されているそうです。
このため、乳汁の出が悪い、ということで気付くこともあるそうです。
口蹄疫に感染した牛は、
直接の死亡率は5%程度、(子牛だと50%くらい)のものなのですが、
食事もとれなくなるために
乳牛としても肉用牛としても産業動物としての価値はなくなるそうで
他の牛への感染拡大を防ぐために全頭処分が必要になります。
ブタにも感染するので、豚も処分対象になります。
診断が確定してから処分したのでは遅い、です。
そうなると宮崎県・鹿児島県の県境付近の農場については
早い段階での全頭処分が必要になるかもしれません。
農家にとっては大打撃です。
国家が補償する、という制度のもとで
早期に対応することが必要だ、と言えそうです。
現在、3万頭(6万頭?)が処分され、
あまりの多さに廃棄処分が間に合わず
宮崎県知事の要請にて自衛隊が出動しています。
非常事態宣言を出してもいいような状況だそうです。
火を通して食べれば、全く大丈夫ですので、
宮崎県産の牛や豚を店頭から撤去する、
なんていうアホなことは 今回はおこらないでほしいですね。
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