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心にのこる出会い175 腸捻転を繰り返したSさん

2024年07月28日  

昨日も暑かったですね。
朝の8時すぎには 外はもう暑くて 汗だくになります。
花火大会に行かれた方も 暑かったんじゃないでしょうか。

カープは0点負けでしたね、仕方ない。
今日は九里投手です、応援しましょう!

 

さて、
毎月 最終日曜日は 心にのこる出会いです。

Sさんは96歳。
一人暮らしだったのですが、慢性心不全と、転倒後のADL低下で要介護4となり、
特別養護老人ホームに入所されました。
入所されて、私たちのはじめての出会いです。
会話では、返事が返ってくるまで時間がかかる方でしたが、
認知症は目立たない方でした。
車椅子に移乗させてもらえれば、操作は自分でおこない、自走できるほどでした。
心不全も まずまずのコントロールで、
落ち着いた日々が流れていきました。

あるとき、Sさんが嘔吐されました。
診察してみると、どうも腸閉塞のようです。
病院に救急受診していただいたところ、S状結腸捻転による腸閉塞でした。
大腸ファイバーで 捻転の解除がうまくいき、開腹手術などは回避できました。
便秘だと再発しやすい、ということで 下剤調整で排便管理が続きます。

ところが、その後も2回、
同じS状結腸捻転・腸閉塞をおこし、救急入院を繰り返すことになりました。
いずれも無事に生還されておりました。

 

あるとき、Sさんは、新型コロナに感染してしまいました。
この時にはまだコロナ治療薬は存在せず、解熱剤や咳止めなど対症療法のみでした。
肺炎もなく、入院条件を満たさないため、そのままホーム内で隔離療養です。
食欲も落ちることなく、ぶじに隔離期間を乗り切れるか、と思われた矢先、
隔離解除の予定日の朝に 誤嚥性肺炎をおこしてしまいました。
心不全の悪化もともなっています。
区の保健センターに連絡し、病院に入院となってしまったのでした。

入院期間は2週間ほどだったのですが、
入院によりADLはさらに低下し、要介護5となりました。
そこで、機会をみつけて、Sさんと 今後の話し合いです。
もう病院には行かない、最期までここで(特養で)、と明確に意志表示されました。

その後、心不全の悪化時には在宅酸素導入をおこないましたが、もう入院依頼はおこないません。
すこしずつ食事量が減っていき、在宅酸素導入の8ヶ月後、特養で静かに永眠されたのでした。
101歳でした。

Sさん、100歳であっても 御自分の意志・希望を明確にお話されるなんて、
とても立派なことだと 思いましたよ。
最期までここで、と言っていただき、ありがとうございました。

【解説】
高齢者では どうしても便秘がちになります。
また、腸閉塞を生じる人も 珍しくはありません。
調べたら大腸がんがあって、それが腸閉塞の原因だった、ということも しばしばあります。
必ずしも外科手術が必要とは限らず、大腸ファイバーで閉塞を解除できる場合もあります。

いちど腸閉塞をおこした方は、原因を解消していなければ また再発することもあります。
そこで、再発予防のためにも 便通の管理が重要、となるのですが
やっぱり高齢者では 排便コントロールがうまくいくとは 限らないです。
今では よい便秘薬も出てきていますが、
それでも便通管理に難渋することも あるんです。

大腸ファイバーは 受ける側としては けっこうしんどいです。
もう受けたくない、という方も 多いですし、
高齢者では体力的に無理と判断される場合も多いです。
腸閉塞が解消されなければ それは命にかかわる事態です。

高齢者の便通管理、とても重要なんですよ。

 

我が家から見た花火
上のほうに上がった花火は見ることが出来ます。
マンションの隙間から 見えました。
コンパクトデジカメですので、夜景・花火は苦手です。

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広島ブログ  

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