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心にのこる出会い182 トイレで倒れたAさん

2025年02月23日  

寒いですね。
昨日は往診・訪問診療のとき、中区も雪でした。
横川橋は雪が路面に残り、凍結しそう。
帰りは 細い道・細い橋は通らず、交通量の多い道で帰りました。
朝は凍結するかもしれません、用心しましょう。

 

さて、毎月 最終日曜日は 心にのこる出会いです。

Aさんは87歳。
身寄りはなく、アパートで一人暮らしでした。
若い頃は正義感あふれる人だったようで、
わりと最近まで ボランティア活動なども されていたそうです。
しかし数年前に 完全に聴力を失ってしまいました。
また、腰部脊柱管狭窄症もあり、歩行が難しくなってきました。
通院も出来なくなったため、ケアマネージャを通じて当院に訪問診療依頼があったのでした。
御自宅で はじめての出会いです。
身振り手振りで 意思疎通です。

耳が聞こえないため、引きこもり状態です。
テレビもラジオも ついていません。
することもないため、トイレ以外は 一日中 布団の中ですごします。

Aさんは、以前はコックをしていたこともあり、
自室で調理も出来たそうですが、
最近はカップ麺、袋麺の生活です。
それも 食べ残すことが 多くなってきていました。
介護サービスはあまり受け入れず、週1回のデイサービスで入浴する程度でした。

冬になると、ますます動かなくなりました。
訪問診療に行っても 血圧測定のために布団から片手を出してくれていたのですが、
それすらも しなくなりました。
寝ている時間が長くなり、食事量もどんどん減っています。

ある朝、ヘルパーさんが部屋にはいってみると
トイレ前で倒れているAさんが 発見されました。
起き上がることが 出来ず、力尽きたようです。

Aさん、耳が聞こえなくなり、閉じこもりになってしまいましたね。
耳が聞こえなくても出来るボランティア活動などがあれば よかったかもしれないですね。

 

【解説】
高齢者の一人暮らしでも 自宅生活は可能です。
訪問医師、訪問看護、訪問薬局、ケアマネージャ、介護ヘルパー、
あるいは デイサービス送迎など
いろんな職種が 自宅に訪ねてきて、支えてくれます。
ここで問題になるのは カギです。
どうやって玄関ドアのカギを開けるのか。

関係する事業所が それぞれ 合い鍵を持つ場合もあります。
玄関付近に キーボックスを置いて、暗証番号でボックスをあけ、中のカギを取り出す、
という場合もあります。
極端な場合、カギをしめず常時あけっぱなしにする場合もあります。

しかし、
上記の方法を認めず、
「家のベルを押してもらったら 本人が玄関ドアを開ける」
と 言い張る方も おられます。
本人が倒れてしまったなら カギを開けることが 不可能となるのです。

そのことを何度説明しても 「自分でやる」と言われると
在宅チームもそれ以上のことは出来ません。

その結果として
危惧していたとおり 室内で倒れ、
玄関ドアが開けられない事例は 珍しくありません。
そうなると 消防署と警察が来て、救助工作車がドアのカギをぶち壊して入る、
ということになってしまいます。
家族がおられる場合には、
「ああ、そんな状況になったのでは 家での生活は無理だな」
と 判断されてしまいます。

カギは共有する、誰かが入れるようにしておく。
ぜひぜひ よろしくお願いいたします
そうしなければ 「最期は自宅で」は 実現できなくなってしまいます。

 

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京都精華大学教授、安田女子大学教授、松山大学人文学部社会学科教授を歴任
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