ブログ

心にのこる出会い187 たった1回しかお会いできなかったKさん

2025年07月28日  

昨日も暑かったですね。
滋賀も京都も 暑かったですよ。
エアコン入れましょう。
今週は涼しくなりませんね、連日35℃、36℃の予報です、どうにもなりません。

 

さて、毎月 最終日曜日は 心にのこる出会いです。

昨日は 滋賀県大津市にセミナー講師に行っておりましたので、
日曜ではなく月曜のアップになってしまいました。

Kさんは86歳。
3年前頃から認知症症状が出始めていましたが、息子さんとの同居で
どうにか暮らしておられたそうです。
1年前に軽度の脳梗塞をおこしましたが、入院することなく 服薬治療がおこなわれました。
今日の予定がわからない。
歩行時のふらつきが大きくなった。
という状況ですごしておられました。
その半年後、転倒して腰椎圧迫骨折をおこし入院となりました。
手術的な加療はしないこととなり、リハビリ目的で転院したのですが
リハビリ意欲もなく寝たきりとなり、認知症が一気に進行してしまったのでした。
退院して2ヶ月目頃には 食事もすすまなくなり、
手足の拘縮、じょくそうも生じてきました。
そしてケアマネージャからの依頼で 患家にて私たちとKさんの はじめての出会いです。

Kさんは生年月日は正答でした。
が、そのほかは何を聞いても 生年月日を繰り返すだけ、でした。
体のあちこちに(5カ所)じょくそうが生じています。
食べ物は口にいれても 飲み込もうとはせず、
息子さんが口からかきだすような状況となっていました。

息子さんは、「食べないのが心配だ」と言われました。
息子さんが一人で介護をがんばってこられたのですが、
ベッドの状況、食事の状況など 息子さんの能力を超えていたことは明らかです。
このまま家にいても 食べられるようには なりませんし、じょくそうも改善しないでしょう。
いったん入院して、状態の立て直しが必要と考えられました。
栄養など全身状態を立て直し、じょくそうも改善させて
在宅療養に必要なものを準備して 家にもどってきましょう。

そこで 2ヶ月前まで入院していた病院に連絡し、再入院となったのでした。

入院して3ヶ月目頃には 自宅退院という話がでてきました。
少しは状態の立て直しが出来てきたのでしょう。
ですが その後、Kさんは発熱し、退院延期となったのでした。

その後は、退院という話は出なくなりました。
おそらくは誤嚥性肺炎を繰り返しておこすようになったのでしょう。
4年間の入院ののち、Kさんは病院でお亡くなりになったのでした。

Kさん、わたしたちは結局 1回しかお会いできませんでしたねえ。

 

【解説】
在宅チームに往診・訪問診療の依頼がきても、
すぐに入院になってしまうケースというのは 時々あります。
全身状態の悪化でケアマネージャがあわててしまい、
とにかく「往診を依頼」、という場合では
御家族は在宅でみるつもりは毛頭なく、はなから入院を希望されている、というケースなども あります。

今回のKさんのように、
「息子さんが介護する」という状況も 注意が必要です。
退院時点では 「介護できる」と思われての退院なのでしょうが、
これまで 赤ちゃんのオムツも替えたことがない、というような生涯独身男性に
大人(親)の食事介助やオムツ交換が出来るとは 思えないんですね。
出来ない、というよりも
「どうしていいか わからない。誰に聞いていいのかも わからない。」
というほうが 多いのかもしれません。
もともと相談相手がいない、ということなんです。

少なくとも退院後2週間は
訪問看護さんに入ってもらっておくほうが よいと思います。
「退院直後」であれば、主治医が 「訪問看護 特別指示書」を書いてくれますので、医療保険で訪問看護がはいれます。
状態の変化の確認も出来ますし、なにかわからないこと・自信がないことがあれば なんでも相談にのってもらえます。
オムツの替えかた、食事の固さや食器・食べさせかた、 食事の体勢、などなど。
ああ、これなら状態は悪化しないな。自分でも出来るな。
と思えば そこからは訪問看護さんを断られてもいいですから。

 

昨日は、京都駅からJRで山科駅へ。
そこから京阪で びわこ浜大津駅へ。
ひさしぶりの乗車です。42年ぶりくらいかな。
まるで広電を思わせる感覚です、いろいろと。車両は立派ですけど。

浜大津といえば 外輪船ミシガン。
昨日は暑くて 船外に出られなかったんじゃないかな。
季節のいい時に乗ったら 気持ちいいでしょうね。

「成瀬は天下を取りにいく」、 「成瀬は信じた道をいく」 の舞台は 大津市です。
ミシガン乗船券売り場にも もちろん成瀬コラボのポスター類 あります。

よろしければクリックお願いします。はげみになります。
広島ブログ  

昨年1月17日、私どもの本が出ました。

紀伊国屋WEB
在宅緩和ケア医が出会った「最期は自宅で」30の逝き方 – 光文社新書
髙橋浩一
価格 ¥924(本体¥840)
光文社(2024/01/17発売) 電子書籍もあります
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784334101992

公民館、集会所などでの講演など、お引き受けいたします。
日程次第です、御相談ください。
10名程度の少人数の集会でも大丈夫ですよ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です