心にのこる出会い193 認知症のある末期癌だったYさん
昨日も朝は寒かったですね。
屋根には雪が残っていました。
今日も午前9時で1℃の予報です、寒いですよ、用心しましょう。
インフルもコロナも ちょいちょい出ています。
昨日は 令和7年度厚生労働省「在宅医療の災害時における医療提供体制強化支援事業」における「在宅医療提供機関におけるBCP(事業継続計画)策定支援研修」 の
ファシリテータをつとめました。
在宅療養支援診療所には 本年、BCP策定が 義務付けになる見込みです(届け出要件に追加される見込み)。
一般診療所への義務化は 2年後でしょうか。
広島市中区の診療所におけるBCP策定に、お役に立てればいいなあ、と思っています。
来週も 同研修Bグループのファシリテータ予定です。
さて、毎月 最終日曜日は 心にのこる出会いです。
Yさんは84歳。
10年前に、アゴの下の腫れが出現しました。
D病院で精密検査の結果、舌下腺癌と診断されました。
抗癌剤治療を受けていたのですが、腰椎、肺に転移をおこしたのでした。
腰椎転移に対しては緩和的放射線治療を受けましたが、痛みは残り、あまり歩けなくなってしまいました。
室内をつかまり歩行するのが やっとです。
D病院への通院も続くのですが、日常的な管理は当院に依頼があり、
御自宅で私たちのはじめての出会いです。
Yさんは おしゃべりが好き。
被爆当時のお話など、いろいろ語ってくださいました。
しかし、次第に認知症が加わってきて、同じ話を何度もグルグル繰り返す、などの症状も次第に出てきたのです。
認知症の方の緩和ケア。
非常に大きなテーマです。
認知症の方の尊厳をいかに守り、本人にとって最善な選択をしていくか。
Yさんの場合の問題点は2つでした。
まず直面するのは痛みについて、です。
痛みの訴えはあるのですが、「どれくらい痛いのか、鎮痛薬の効果はどれくらいあるのか?」ということ。
認知症の方の場合には、質問されたら全部「痛い」という方と、 痛いはずなのに「痛くない」という方がおられます。
Yさんは、聞かれたら毎回「すごく痛い。10点満点の8点」と答える方でした。
しかも、「痛み止めの頓服(レスキュー薬)は よく効く」とも答えます。
もし、その痛みの訴えをそのまま信じるのであれば、痛み止めがどんどん増えてしまいます。
D病院の緩和ケアの先生も とても困られたのだと思います。
処方されるオピオイド(=医療用麻薬)の種類も量も どんどん増えたのでした。
御自宅で日々 患者さんと接している我々からすると、
「おかしい、そんなに多量の麻薬が必要なほどの痛みではないはずだ」。
そこで、オピオイド治療管理はD病院から我々に一任していただきました。
Yさんの表情変化を読み取り、話しぶりや話す内容もじっくりみながら、
麻薬の種類も量も かなり減らした状況でのコントロールが可能でした。
もう1つの問題点は、御家族でした。
「認知症の人は 何もわからなくなる」と 思われていたのかもしれません。
本人に相談することなく、本人の希望を聞くことなく、
治療方針を一存で決める御家族の方がおられました。
「こんなに痛い痛いというのだから 入院させてください」、
「歩けなくなったのだから 入院させてください」、
「嘔吐して 食べられないから入院させてください」、などなど。
そうなると、他の御家族は異論は言い出しにくく、
その方の決めたとおりに するしかありません。
結局は、何度も入退院を繰り返すことになったのでした。
Yさん、とくに最後の入院期間は 長くなりましたね。
途中で自宅に戻れれば よかったかもしれないですね。
【解説】
認知症の方の 人生最後の段階を、 どこで どうすごしてもらうか。
認知症の方の尊厳を どうやって守っていくか。
とても大きなテーマです。
いちばん良いのは、 判断力がしっかりしている間に、
自分は人生最後はこうしたい。こうしてもらいたくない。
という話を 御家族としておくことです。
自宅がいいのか、施設がいいのか、入院を希望するのか。などなど。
一度でもいいので 御家族とこの話がしてあれば
本人がいやがる治療を 無理に施行される、なんていう事態は
かなり避けることが出来ると思います。
なお、癌であっても、認知症一人暮らしであっても、「最期まで自宅で」は 可能です。
認知症の方が 一般病床に入院を続けるのは 難しいかもしれません。
もし認知症による問題行動があれば、「退院してください」と言われることでしょう。
認知症の施設であれば、しっかりとした緩和ケアが受けられないかもしれません。
自宅なら 認知症診療も、緩和ケアも、しっかり受けることが出来ます。
認知症の方には、「環境を変えないこと」が 望ましいとされています。
入院したり、施設に入ると、混乱したり興奮したり、「せん妄」をおこすことに つながります。
住み慣れた環境のほうが 安心してすごせるのです。
また、「痛み」についても、自宅のほうが痛みは軽くなります。
住み慣れた環境のほうが 安心して眠れるからです。
認知症の末期癌の方こそ、「在宅医療による緩和ケア」が 望ましいと 私たちは思います。
いただきものです。
安倍川もち。静岡市ミホミフーズさん。
安倍川もちって、名前は知っているけれど、
食べた記憶がありません。
たぶんはじめてかな・・・あれでも2-3回目かな・・・。
一昨年1月17日、私どもの本が出ました。

紀伊国屋WEB
在宅緩和ケア医が出会った「最期は自宅で」30の逝き方 – 光文社新書
髙橋浩一
価格 ¥924(本体¥840)
光文社(2024/01/17発売) 電子書籍もあります
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784334101992
公民館、集会所などでの講演など、お引き受けいたします。
日程次第です、御相談ください。
10名程度の少人数の集会でも大丈夫ですよ。
【業務連絡】医師募集
病院の合併・統合など、あるいは医局人事などは、
働く人間 個々の想いを超えた部分での話となります。
もう病院は辞めようかな、と思われることがありましたなら
ぜひ当院にも御相談ください。
お気持ち・お話を聞かせてください。
そして、在宅診療という 新しい世界で 私たちと一緒に働きませんか?
常勤でも 非常勤でも。
御連絡お待ちしております。
森鴎外の孫、小堀鷗一郎医師は、70歳をすぎてから 外科医をやめて在宅医に転身されておりますよ。
【おまけ】
当院では 春レク、夏レク 等で、職員のカープ観戦をおこなっています。
2年前からはサンフレ観戦も おこなっています。
カープ、サンフレファンの医師のかた、当院に就職すれば いいことありますよ。
釣り部もあります。
釣り好きな医師のかた、当院にくれば一緒に釣りできますよー。


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