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心に残る出会い4 退院前カンファレンスをしたKさん

2009年09月27日  

Kさんは膵臓癌でした。
膵臓癌は発見が遅れることが多い癌で、治療成績が良くありません。
手術を受けましたが、すでに周囲への浸潤、腹膜播種もありました。
膵頭十二指腸切除、結腸部分切除、そして腹膜播種は取れるだけは取りました、という手術でした。
見える癌はすべて取り除き、あとは幸運を祈るばかりです。
しかし手術後の回復は思わしくなく、いつ退院できるか、メドがたちません。
Kさんは、家に帰りたい、と考えはじめました。
家に帰れば、食欲も出てくるに違いない。

いったん言い出すと、Kさんはあとには引きません。
社長として、何事も自分の思ったとおりにやってきたKさんでした。

退院の準備がはじまりました。
訪問診療医として当院に依頼があり、退院前カンファレンスに出席しました。
本人も娘も家に帰りたい、帰したい。
妻だけが、ちょっと不安。
主治医も、病棟受け持ち看護師も、私も、訪問看護師も、訪問薬剤師も、みんなで後押しします。
いざという時は、いつでも入院できますよ、病院と縁が切れるわけではありませんよ。
調子悪ければ私や訪問看護師がいつでも駆けつけますよ、大丈夫ですよ、と。
今日にも帰りたい、というKさんでしたが、さすがにそれはむつかしく、数日後に退院となりました。

退院してからは、愛犬もいて、庭も見える、ふだんどおりの生活。
ふだんとちょっと違うのは、腸ろうチューブから栄養食を流し込む手間だけ。
睡眠もとれるようになり、痛み止めのモルヒネの使用量が減りました。
口からも少しずつ食事量が増えていきました。
まだちょっぴり不安顔の奥さんに、いろいろ相談に乗りながらの訪問が続きます。

しかし3週間もしないうちに、腹が張る感じが悪化、
再び食欲が落ち、食べられなくなってきました。
薬の調整もいろいろ試みてみたのですが、
腹が張るため注入食も多くは受けつけず、量を減らしていくしかありません。
再入院し検査したところ、肝臓転移が多数出現。
癌は短期間で急速に進行していたのです。

退院時点では、
もし家に帰って食事がある程度食べられるようになれば、
そのあと抗癌剤治療もやりたいですね、
と主治医・訪問診療医で相談していました。
しかし、とてもそういう状況ではありません。
食事がとれず、注入食も十分入らない状態では、長くはもちません。

Kさんは、緩和ケア病棟に移ることになりました。
御家族に囲まれ、娘さんのピアノ演奏を聴いたりしながら、静かな時をすごされたそうです。
およそ1週間ののち、私たちが病室を訪問した時には、Kさんはもう昏睡状態でした。
その日のうちに、Kさんはお亡くなりになりました。

9月22日~23日開催されたリレーフォーライフ2009in広島の風景です。
写真は開会式であいさつする秋葉忠利広島市長。
P1100673.JPG

★新型インフルエンザH1N1情報
東京都が25日 注意報を発令しています。
Yahooニュース 9月27日12時17分配信 フジテレビ
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn/20090927/20090927-00000646-fnn-soci.html
大阪もすぐでしょうか。

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