心に残る出会い117 うなぎ釣りが好きだったTさん
カープですが。
中崎劇場、困ったものです。
打たれても1点差で逃げ切れば いいんですけどねー。
今日は九里投手です、応援しましょう!
さて、最終日曜日は 心にのこる出会いです。
Tさんは71歳。
認知症で10年以上 グループホームに入居されていました。
次第に体が動かなくなり、食欲も落ちて寝たきりとなってきました。
病院にいく希望はなく、施設で看取りの方針となりました。
ところが、それまでのTさんの在宅担当医は 土日・夜間の対応が出来るとは限らない、
ということで 当院に最期の看取り対応の依頼がはいりました。
グループホーム自室のベッドで 私たちのはじめての出会いです。
Tさんの認知症はかなり進行しており、
昔の話などお聞きしようとしても もう会話があまり成立しません。
食欲を出してもらう工夫につながらないか、と思いながら
好物などの話題を話かけるうちに
聞き取りにくいですが、
「うなぎ いるか?」
という発言が聞かれました。
自分がうなぎを食べたい、という意味ではないようです。
「うなぎ?」
と 突っ込んで聞いてみても それ以上の発語はありませんでした。
後日、また同じ発言が出ます。
その時は 意味がよくわかりませんでした。
しばらくのち、Tさんは、そのグループホームでお亡くなりになりました。
看取り時にはじめてお会いした御家族に聞いてみたところ
「ずいぶん昔 太田川で うなぎの夜釣りに行くのが好きだった。
釣ってきたうなぎを 先生に差し上げよう、と思っていたのではないでしょうか?」
ということでした。
精一杯の おもてなしの言葉だったのですね。
Tさん、おもてなしの心、うれしかったですよ。
太田川でうなぎが釣れるポイントやエサを 教えてもらえればよかったですね。
【病気についての解説】
認知症は、「何もわからなくなってしまう病気」ではありません。
ものごとの記憶がかなり失われてきた段階であっても、
「こころ」とか「感情」といった その人らしい部分は 残っていることも多いです。
やさしく、にこやかに接してくださる方も多いですし、
おもてなしの心あふれる方もおられます。
すてきな人だなあ、素晴らしいなあ、と思うことも多いんです。
それと
認知症というのは、「たんに記憶が失われる病気」ということだけではありません。
アルツハイマー型認知症であっても、レビー小体型認知症であっても、
次第に動けなくなり、次第に食べられなくなり、
次第に衰弱して最期は「亡くなられる病気」なんです、
ということを 理解し覚悟をしておいていただく必要があります。
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