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心に残る出会い135 医療従事者だったOさん

2021年02月28日  

毎月 最終日曜日は 心に残る出会いです。

Oさんは90歳。
夫婦ともに認知症になり、夫婦でサービス付き高齢者向け住宅に入居されておりました。
訪問診療を担当していたクリニックが、在宅医療から撤退されたため、その後の健康管理を当院に依頼がありました。
その施設で私たちのはじめての出会いです。
とびしま海道にある島の出身で、その島の病院で看護師をしていた、というお話でした。
しかし、どの病院におられたのか、何歳頃まで仕事をされていたのか、など
細かい話になると もうあやふやな返答しか帰って来ない状態でした。
夫の認知症のほうが進行していたものですから、夫に確認することも不能でした。
(結局、看護師だったというのが事実かどうかは 誰にもわかりません)。
看護師さんでしたか、すごいですねー、などと話しかけながら 血圧測定や聴診はニコニコと応じてくださっていました。

 

最初の頃は 足腰もしっかりしており、徘徊が問題とされていました。
しかし徐々にOさんの足が弱り、車いす生活となったため、徘徊はなくなりました。
それはいいのですが、次第に怒りっぽくなり、診療拒否となってきました。
認知症の方には よくみられることです。
血圧計やパルスオキシメータを拒否し、腕を振り払うことも多くなってきたのです。
昔は看護師さんだったんですよねー、今の血圧計はこんな形ですよー、はかる原理は同じですよー、と 話しかけながら何とか全身状態の把握につとめます。

 

ある夏、食欲が極端に低下してきました。
腹部CT検査をおこなったところ、胃の壁が厚く、胃癌が疑われました。
高齢で、認知症あり、拒否的ですので 胃カメラは実施困難です。
これ以上の検査はおこなわず、対症療法のみおこなうこととなりました。

その後、食欲が出たり無くなったり、じょくそうが出来たり治ったり、などの波を繰り返しながら ゆっくりと次第に衰弱がすすみます。

そうこうするうちに、認知症が高度であった夫が 施設でお亡くなりになりました。
そのあと、のことですが。
Oさんは、しきりに「こわい、こわい」と言うようになりました。
何がこわいのか、どうこわいのか、それは聞いても はっきりしません。
「大丈夫ですよ、調子悪くなっても どこか他へ行け、なんて 誰も言いませんよ。
最期までちゃんと私たちが面倒見ますよ、痛くも苦しくもありませんから安心して下さいね。」
とお話すると、
そうーお、ならよかった、と安心した顔をされました。
Oさんは 夫が亡くなられた4ヶ月後、施設で静かにお亡くなりになりました。

 

【解説】
認知症で 怒りっぽくなったり、診療を拒否される方も 多いです。
血圧計など振りほどくかたは 珍しくありません。
そういう時には、相手のプライドをくすぐる話を続けながら 診療を続けると うまくいくこともあります。
そのためには 「どこで どういう生活をされてきたのか、どういう仕事をされてきたのか」を知っておかねばなりません。
認知症が進行してくると 聞き取りが難しくなってきます。
できるだけ早い段階で聞き取りをおこなうこと、が 大切なんですね。

最期の時期の「こわい、こわい」ですが、
これは正直なところ、正確な答えは持ち合わせておりません。
自身の体調の悪化は自覚されていて、「この先どうなるんだろう?」という認識は あったのではないか、
それが こわい という表現で出て来たのではないかな、とは思っています。
認知症の有無にかかわらず、「安心していいですよ、大丈夫ですよ」、という語りかけを繰り返す、というのが 心の平穏につながると思います。

 

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昨日は 吉島 わいず亭。
吉島エリアで、いその麺を使っているお店です。
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とんぺい。 新鮮野菜が食べられる「とんぺい」って、珍しい。いいですね!

ピリ辛煮込み  ビールに合います。

吉島公園 上の段  サクランボの木、この写真は27日です。
この木については これが満開です。
ヨメイヨシノとは違って、ほのかにいいカオリがします。

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