心に残る出会い17 パーキンソンのMさん
Mさんは83歳。
パーキンソン病が進行してねたきりになり
当院で訪問診療をすることとなりました。
パーキンソン病では、体が動かなくなってくる他に
うつ状態が加わってくることが多く、
会話・発語もみられなくなってくることが多いのです。
Mさんも、もう何年も自分から言葉を発することはなく、
意思表示の方法は目線で合図をすることでした。
ある日、
じゃ診察しますね、
と言ってお腹を触ったところ、
Mさんが「ひやっ!」。
そうです、冷たい手でお腹をさわってしまったのです。
Mさんの声を聞いたのは、これがはじめてでした。
思わず声を出すほど冷たい思いをさせてしまったなんて、
本当に反省しきりです。
私の診察を受けた方はおわかりと思いますが、
冷たい手や冷たい聴診器で診察しないよう
ふだんはかなり気をつけています。
朝1番の患者さんには特に気をつけており
暖かいドリンク(缶入り飲料)を診察机に置いておき
その缶を握って手指をあたためてから診察をするなど
配慮してきたつもりだったのです。
今回は午後からの訪問ということもあり
自分としては「寒い冷たい」という意識がなかったので
こんな思いをさせてしまうことになりました。
Mさん、ごめんなさい。
というわけで
今では訪問診療のとき充電式カイロを持ち歩くようになりました。
診察前にポケットに手を入れていますが
これは失礼な態度をとっているわけではなく
カイロで手指をあたためているのです。
Mさん、Mさんのおかげで、初心に返ることが出来ていますよ。
写真はサンヨー充電式カイロ eneloop kairo。
http://jp.sanyo.com/eneloop/lineup/kairo02.html
スイッチを入れるとすぐに暖かくなります。
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