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心に残る出会い179 看取り目的で退院したGさん

2024年11月25日  

昨日は いい天気でしたね。
みなさまも いい休日をすごされたでしょうか。

 

さて、
毎月最終日曜日は 心に残る出会いです。
今月は1日遅れで 申し訳ございません。
文章の準備は出来ていたんですが、最終日曜ということを すっかり忘れておりました。

Gさんは75歳。
ある時 歩行困難となり、K病院に救急車で運ばれました。
糖尿病と脱水が 判明したのでした。
これまで薬なぞ 飲んだこともなかったので、なかなか服薬治療ができず、血糖値が落ち着きません。
自宅復帰は困難と判断されて、リハビリ病院に転院となったのでした。
そこでリハビリと服薬をがんばって、無事に自宅退院となりました。
退院したものの、エレベータのない3階で、外来通院は不能。
訪問看護を通じて当院に訪問診療の依頼がありました。
御自宅で私たちのはじめての出会いです。

家族はいない。
夫とは離婚しており、子供は事故で死亡した、
との 本人の話でした。

 

自宅では、やっぱり薬の内服 自己管理が難しかったせいでしょうか。
退院して2ヶ月後には 脳梗塞をおこして脳神経外科病院に入院となったのでした。
リハビリ病院に転院後、 今度はリハビリがすすみません。
自宅は無理です、と判断され、
高齢者集合住宅に 入居となったのでした。
そこでは 食事管理も服薬管理も おこなってもらえます。

その集合住宅には 当院が訪問診療したことがあります。
引き続き 当院が訪問診療管理を続けることとなりました。

 

脳梗塞の治療では、血液サラサラになる薬を使用します。
副作用で ときに 「出血」という大きな問題も生じます。
あるとき、かなりの量の血便です。
入院が望ましい。
そこで 「実は息子は生きていて、九州にいる」ことが 判明したのでした。
ケアマネージャが息子さんに連絡したところ、息子さんは入院を希望されましたので、
病院入院して治療です。

脳梗塞あり、入院あり、で Gさんの活動性は どんどん低下していきました。
寝たきりに まっしぐらです。
1年後には 発熱で再入院となったのでした。
熱は1週間ほどで下がり、退院してきましたが、
その3日後、 今度は誤嚥性肺炎をおこし、再入院となりました。
もはやGさんは 飲み込むことがうまく出来ないのです。

治療で熱がさがっても、 食事も水分も 飲み込むことが出来ません。
絶飲食、点滴、酸素吸入。
病院にいても これ以上 やれることはありません。
ベッドで寝ているだけ。
病院も お手上げです。

 

もしかしたら 住み慣れた環境に戻れば 少しは食べられるようになるかもしれない。
でも、回復しなければ そのまま看取りですよ。
という合意でもって 元の高齢者住宅に退院されたのでした。
Gさんは、その翌日 自室のベッドで静かに永眠されたのでした。

Gさん、住み慣れた場所に帰れたのは 良かったですね。
でも、亡くなる1日前の退院なんて、驚きましたよ。
昔は、ケーキ屋さんの上に住んでいましたよねえ。
でも結局 そのケーキ屋さんには 私たちはまだ行くことが出来ていないんですよ。

 

【解説】
コロナ禍で、「入院」についての考え方は 180度 かわりました。
これまでは「状態が悪くなれば入院、良くなってから退院」でした。
ところが
コロナ流行の状況では、面会禁止。
お見舞いも付き添いも出来ません。
しんどい時に、家族や友人と 誰も会えないのです。
それでは話が違う、後悔が残る、ということで
「状態が悪いからこそ 病院を退院して家に帰る」という希望者が多くなりました。
それは在宅での看取りを覚悟してのことになります。

それにしても
亡くなられる1日前に 病院が 退院を許可する、なんてことは
昔なら考えられなかったことですね。

ちなみに
癌緩和ケアの世界では、
自宅に退院して3時間後に 永眠された。
とか
退院して家に戻る途中の車の中で呼吸が止まった。
なんていうケースも 経験してきています。
いずれも在宅看取り覚悟の方々で、自宅で亡くなっても「検死」ではありません。
「家に帰りたい、帰したい」という場合には 早く行動にうつすのが いいと思います。
家ですごせる時間が 少しでも長くなりますので。
よろしくお願いいたします。

 

 

さて、温泉です。
大崎上島 きのえ温泉ホテル清風館が
温泉総選挙の絶景部門で 1位に選ばれました。

絶景部門第1位!「温泉総選挙」で大崎上島町・きのえ温泉が選ばれる
広テレニュース 2024/11/6
https://news.ntv.co.jp/n/htv/category/society/ht7afc402c494949088ce3b4b987441b80

この記事を知った緩和ケア薬剤師が、
「ぜひ行こう、すぐでも行こう」 と リクエスト。
私ども夫婦は 高齢者となり、体のどこかにガタが来ています。
私は左足底の筋膜炎(腱膜炎)、緩和ケア薬剤師は右肩の痛み。
温泉治療が いいと思われますね。
年内で空いている日祝は 昨日しか ないのでした。
予約も取れて、きのえ温泉ホテル清風館へ。
好天に恵まれ、ありがたいことでした。

 

絶景の温泉というのが知れ渡りましたので、
来年からは 旅行会社のツアー客が増えると思います。
今なら空いていますので 行くなら早いほうがよいか、と思います。
また清風館も 受賞記念プランを用意するようです。
県内の方は、そのプランが出てからでも いいかもしれませんね。
館内では 修学旅行の打ち合わせと思われる会合をされておりました。
来年は きっと 多いですよ。

なお、
10月に男性風呂だけにサウナが整備されたようです。
緩和ケア薬剤師によると 「男性風呂にサウナがあるのに、女性風呂にサウナがない!」と 文句をいっている家族連れがいたそうです。
次は女性サウナのある温泉に行こう、と 話していたそうです。
設置スペースはあるみたいですので、近いうち女性風呂にもサウナが出来るかも、ですね。続報を待て!

ふつう、更衣室や露天風呂では ケータイ、スマホ、カメラなどでの撮影はしないよう注意書きがあることが ありますが、
ここでは何も書いてありません。
絶景を投稿してもらいたい、ということなのだと思いました。
裸の人物を撮るのは さすがに問題があるので、疑惑を招く行動はやめましょうね。風景だけにしましょう。

露天風呂の少し西向き風景。海面はキラキラと、いい感じです。

少し東向き風景。四国に向けての橋が よく見えます。
石鎚山は 雲の中でしょうね。

これに近い見え方のはず

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