心に残る出会い41 福島からきたNさん
心に残る
Nさんは69歳。
NさんとOさんは、わけあって福島で内縁生活をしていました。
Oさんには乳がんがあり、
抗がん剤治療を受けていたのですが
副作用がひどくて通院治療は中断となっていました。
その時に、東北大震災です。
震災で、自宅に住めなくなったため
二人はOさんの実家のある四国に逃げてきていました。
悪いことは重なります。
逃げてきていた四国で、Oさんの乳がんが皮膚を食い破り
顔を出してきたのです。
何とかしなくてはいけませんので、
四国の病院で治療を開始しましたが、うまくいきません。
おまけに四国で人にだまされ
お金をずいぶん失ってしまいました。
そうしているうち、広島県の震災被災者受け入れに応じて
広島に住むことになりました。
広島に来てからは、Nさんの持病、C型肝炎が悪化し
肝硬変となってきました。
最初は近所の医院に通院し点滴を受けていたのですが、
腹水がたまってきて、
苦しくてほとんど動けなくなってきたのです。
その医院は往診/訪問診療はやっていません。
当院に訪問診療の依頼がはいりました。
そこで私たちのはじめての出会いです。
震災の被災者には、医療費の減免制度がありました。
でも、NさんOさんともに
これまで どこの医療機関からも減免制度の説明はなく、
手続きが出来ていませんでした。
急いで手続きをすませます。
NさんはC型肝炎・肝硬変ですので、
肝臓癌のチェックは前の医院でやってありました。
そこで肝硬変の治療を継続していくのですが、
でも、何かがおかしい。
1週間もしないうちに、便に血が混じるようになりました。
C病院で検査してもらったところ、大腸癌でした。
しかも、かなり大きい。
肝硬変があるので手術後は大変だし、
ストーマが必要になると思われます。
大変だけれども
手術が不可能な段階ではありません。
C病院の担当医も当方も 手術をおすすめしたのですが
Nさんは、入院はしたくない、
抗がん剤も含め癌治療は受けたくない、と同意されません。
Oさんを一人自宅に残して入院はできない、
とNさんは考えたようでした。
Oさんの乳がんも治療が必要ですし、
二人いっしょに入院させてもらえばいいじゃない、
と提案してみたのですが、
二人とも入院には同意されませんでした。
仕方ありませんので、
今後おこりうる事態/症状とその対策につき説明し
在宅治療が続きました。
何度か意思確認をおこないましたが意思は変わらず、
在宅看取りの方針を選択されたのでした。
次第に痛みが出てきます。
ある日、痛みがひどくなり往診依頼です。
血圧も低めになっており、診察所見では
癌による腸管穿孔が疑われました。
穿孔であれば、手術しなければあと1-2日でしょう、と告げて
再度の相談ですが、やはり入院は選択されません。
痛みを和らげる治療を強化しましたが、
その夜、激痛になったためNさんは自ら救急車を呼んで
C病院に運ばれました。
その翌日早朝、Nさんはお亡くなりになりました。
震災にあい、避難生活を強いられていると
医療費負担も心配の種だと思います。
被災者への医療費減免制度があるのですが
これまで受診した医療機関ではどこからも減免制度の説明が
ありませんでした。
少なくとも昨年9月までは無料で医療を受けることが出来たのです。
避難先で受診していた先には、有名な地域基幹病院もありました。
そういう減免制度についての説明が早い段階で受けられていれば
このお二人の検査や治療の経過は違ったものになっていたかもしれないなあ、
と思ったことでした。
そごう広島店 波奈 デザート
子供たちが帰省した時など、
いろいろな物を食べたいとき
(みんなの希望がそろわない時も)、に よい店です。
★インフルエンザ情報
広島県では3日間で69件の学級・学年閉鎖となっています。
県のホームページは相変わらず更新が遅いです。
うがい手洗い咳エチケット、よろしくお願いいたします。
い41 福島からきたNさん
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