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救急車はどこへ向かえばいい?

2013年03月7日  

昨日は暖かくなりましたね。
本日はもっと暖かくなるようです。
ただし、花粉は「非常に多い」予報ですので
あまりうれしくもないですかね。
ご注意ください。

さて、
埼玉県でおこった救急受け入れ不能のニュース。
本日はこれを考えてみましょう。

毎日新聞で確認しておきます。
久喜の救急搬送拒否:「輪番制」機能せず 病院照会、現場隊員まかせ /埼玉
毎日新聞 3月6日(水)11時25分配信
久喜市の75歳男性が1月、県内外の25病院から延べ36回にわたって救急搬送の受け入れを断られ、死亡した事態は、救急医療の搬送現場が抱える問題点を改めて浮き彫りにした。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130306-00000048-mailo-l11

タイトルから問題がありますね。
救急搬送拒否、というのと
救急受け入れ不能、
というのは違います。
たとえば
救急車を受け入れようにも、
対応できる医師がいない場合
(例:現在、先に運ばれた重症患者に懸命に対応していて
次の救急車が来ても対応できない状況)、
ベッドが空いていない場合
(例:さきほどの救急車でベッドが全部ふさがってしまい
もう受け入れる余裕がない)、
なんていう状況では
受け入れ不能なので他の病院を探してください、
ということになります。

さて、
こうした受け入れ困難事例ですが、
今後は急増すると予測されています。
しかも、千葉や埼玉など大都市近辺で。
それは、どういうことでしょうか?

現在、都心の企業で働いている人たちは
電車で1時間半とか2時間かけて通勤しています。
埼玉都民とか、千葉都民とか言う表現もありますね。
昼間は東京にいて、夜、埼玉や千葉に戻るのです。
埼玉や千葉では、昼間は人口が少ないのですから
医療機関もそれなりの数・規模しか存在していません。
しかし
もう少しして団塊世代が退職し、地元で暮らし始める。
もう東京の病院に通院することはないでしょう。
埼玉都民や千葉都民が地元に通院・受診することになります。
患者の急増、という事態ですね。
しかも
高齢化にともない病気は増える、死亡する人も増える。
入院するような状態の人も増えるし、救急車の出番も増える。
しかし
現在の地元の医療キャパシティは
将来の患者急増に対応できるだけのものは現在ありません。
(そんな将来の余裕たっぷりの病院があれば
現在大赤字を計上しているはずですね)。

こうして、
千葉や埼玉の医療は崩壊する、と予測されているのです。
救急車の行く先がない、
看取りの場所がない、
そういう時代が来るのです。

解決策はいくつかあります。
ひとつは病院を統廃合して大型化し、
救急を断らない医師数・ベッド数をもつ巨大拠点化すること。
中小の病院がたくさんあっても、救急受け入れには役には立たないのです。
毎日、救急医が複数いる、ベッドもいくつも用意できる、そういう拠点が必要です。
病院の統廃合に伴い、
地元から病院がなくなる地域もたくさんでますが、
そこは受け入れないと地域全体の救急システムが破たんします。
救急拠点を巨大化し医療資源を集中し、
急性期リハビリなども重点的に実施し、
結果として入院期間を短縮化しベッドを空ける施策を講じる必要があります。

もうひとつは
悪くなったらとにかく病院へ、という意識を変えていくことです。
癌の末期や老衰などは
病院ではなく在宅や施設で看取りをしていくこと。
ここは私たち在宅医の出番です。

ところで
広島の救急医療においては
受け入れ不能が3回続けば、とにかく広島市民病院がいったん受け入れる、
というシステムが整備されています。
埼玉でもこうしたシステムが必須でしょう。

広島では、整形外科領域で受け入れ病院不足が
しだいに明らかになってきています。
たとえば交通事故の受け入れ先がみつからない、というわけです。
これに関しては、内科や眼科と同じように
整形外科での夜間急病センターが整備される方向で検討されています。

***
市民公開講演会のお知らせです。
とき:  3月17日(日)13:30
ところ: 広島市中区吉島公民館3階大集会室
講師:  産業医科大学 平岡晃 医師
タイトル: 癌になっても生きる・働く
参加無料、申し込み先着160名
申込みはメールまたはFAXで
info@origuchi-naika.jp
FAX:082-241-6856
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