癌で胸水が貯まったら
乳がんで、胸水が貯まることがあります。
N病院外来治療と 当院の在宅療養の2本立てで
自宅で生活していた患者さん、
入院となってしまいました。
本日のお勉強は がん性胸水について。
東広島市 次郎丸
http://www.pressnet.co.jp/hkg/jiromaru/
ぜひまた行きたいです。
★インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。
本日のお勉強
PS不良患者に対する胸膜癒着術の治療実態
日本呼吸器学会雑誌 2011年10月号
亀田総合病院呼吸器内科 安藤 克利 先生ほか
要点
肺癌による癌性胸膜炎に対する緩和的医療として胸膜癒着術は有用である。
全身状態(PS: performance status)が悪い患者では
実施すべきかどうか判断に苦慮することが多い。
癒着術にはOK-432(ピシバニール(R))が用いられる。
PS不良患者では初回癒着術での成功率は低い。
初回で成功するか否かが、その後のPSや予後に影響を及ぼす。
***
癌性胸水が貯まると、息切れなどが出やすくなり
日常生活に影響が出ます。
日本では比較試験にてOK-432の有用性が明らかになったので
これを使用している施設が多いです。
抗がん剤を使用する場合もあるし
欧米ではタルクを入れることもあります。
(日本ではタルクの保険適用がなく、当方には使用経験はありません。)
これまで、癌性胸水があれば 臨床病期ⅢBでした。
今では、遠隔転移と判断され、病期Ⅳです。
以前は病期ⅢBの中で胸水例は手術できません、ということで
実質は病期Ⅳ扱いではあったのですが、
2010年の新TNM分類にて実態にあった改訂となりました。
胸水を減らす処置をおこなえば
体は楽になるのだろうか?
薬や処置によりかえって体が弱ったりしないだろうか?
かえって寿命を縮めたりしないだろうか?
というところは難しい問題です。
それに対しての回答例として、
亀田総合病院では
1:入院時のPSが不良である
2:癒着術に耐えうる心肺機能がない
3:予後が数週間以内と極めて不良である
4:患者・家族の同意が得られていない
などの場合には
胸腔ドレーンの留置や胸膜癒着術は施行せず、
胸水穿刺またはモルヒネ等による症状緩和のみとしている、
とのことです。
ただ単に胸水穿刺をする、というのでは
すぐに胸水は再貯留しますので効果は一時しのぎにすぎず、
何度も繰り返し施行する処置ではありません。
在宅で療養している肺癌患者さんについて
癌末期で胸水が貯まってきた時には
入院しても(亀田総合病院では)胸膜癒着術の適応ではありませんよ、
という情報を
本人や家族に提示することは出来ると思います。
入院してもモルヒネ増量などで対応する、ということなら
そのまま在宅でも同じ治療は出来ますよ、ということなのです。
在宅で療養している末期癌で
胸水が貯まってきて状態が悪い場合には
特別な治療(チューブを入れたり癒着術をしたり胸水を抜いたり)せずに
モルヒネでの対応ですよ、
ということを覚えておきましょう。
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