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胃ろう は幸せか? その2

2010年04月13日  

昨日のブログで
栄養補給をおこなわなければ死に向かうので
チューブ栄養をしないという選択肢は選ばれにくい、と書きました。
では、栄養補給をしても効果がない、としたら、どうでしょう?

アメリカでの研究になりますが、
重度認知症患者への栄養チューブ導入(胃ろうも含まれます)は、
生存率の改善や誤嚥性肺炎の予防、じょくそうの治癒および予防、他の臨床アウトカムの改善に無効である、ということが発表されています。

簡単にいうと
認知症患者が誤嚥性肺炎をおこしたり食事をとらなくなった時に
チューブ栄養をおこなってもムダだ、ということです。

しかし、
実際にはアメリカでもチューブ栄養をおこなわれることがあり、
急性期医療をおこなう大規模病院で実施比率が高い、ということです。
JAMAという世界的に有名な雑誌に発表されています。
(JAMA2010、544-550ページ)

この記事は、私はごく最近 Medical Tribune という医学情報誌で読んだのですが、
ググッてみると
すでに訳してブログで紹介している方がおられました。
すごい人がいるものです。
脱帽です。
http://intmed.exblog.jp/9919328/
チューブ栄養挿入の病院特性は、
for-profit ownership(営利目的経営形態)、病院の規模が大きいほど、ICU使用が多いほど多い。

日本でも、急性期医療を担当する基幹病院で 胃ろう が作成される
ケースが多いと思います。
脳卒中にせよ誤嚥性肺炎にせよ、運び込まれるのは急性期病院です。
胃ろうが作成される理由の一つは、
栄養を補給するのは当然、チューブ栄養を開始しないと衰弱して死んでしまう
という医療者の意識が背景にあります。
急性期病院では栄養補給の手技・知識については研鑽し身につけていきますが、
効果がない、という結末、研究結果は知らないのです。
もう一つの理由は
この研究結果について家族が説明を受けていないことです。
栄養や水分は必要だ、口から摂れないのだから栄養チューブ挿入が必要、
という説明を受けると
そうだよな~ と思ってしまうのは仕方がありません。

医療者側が、
「この状態で栄養チューブを挿入しても延命効果、肺炎予防効果はありません」、
ということを
家族にちゃんと説明できれば
胃ろう をめぐる状況は変わってくると思います。

欧米では、胃ろうや栄養チューブの人は あまり多くありません。
これに対し、日本では胃ろう患者がどんどん増えています。
「世界中で日本だけの特殊な医療状況」 というのが
胃ろうの領域でも 生じてきています。
そして、
寿命も延びず肺炎予防もできないのに栄養チューブ挿入を受けさせられる、
それは患者にとって幸せなことなのでしょうか?

ぼたん。咲きました。
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★新型インフルエンザ情報
5年以内に新型ワクチンを半年で製造できる体制を整備する、
という民主党マニュフェストが出たとのことです。

医療分野の素案明らかに-民主党参院選マニフェスト
4月12日18時54分配信 医療介護CBニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100412-00000011-cbn-soci
体制の整備にかかる費用は約1200億円、とのこと。

ワクチン確保は社会防衛である、
と言うことが今回の新型騒動で理解されたと思います。
社会の安心安定のためには、これくらいの費用は安いもの、と考えます。
半年で製造する、というからには鶏卵法ではなく
細胞工学を使用した方法でしょうかね。

肺炎予防推進プロジェクト「怖いぞ、肺炎! 予防が大事」キャンペーン

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