黄砂に注意。症状悪化します
連休があけて
新患患者さんがかなりたくさん来院されました。
喘息やアレルギー性鼻炎・花粉症のある人が
咳痰、微熱あるいは熱感、息苦しさ という症状悪化で来院しています。
よく聞いてみると
良い天気だったので、ついうっかりマスクをしないで外出した、
という人が多かったです。
感染症の所見はそう強くはなく、
連休中は黄砂がひどかったので、黄砂の影響と思われます。
気象庁の黄砂予測などに注意しておいてください。
今日から明日にかけてもかなりの黄砂ですね。
でも、
ここに書かれているよりずっと少ない黄砂でも
症状が出る人は多いです。
あくまで参考程度の情報です。
http://www.jma.go.jp/jp/kosafcst/index.html
朝おきて、まわりの山々を見る習慣づけをおすすめしました。
遠くの山々がくっきり見えないようだと、
黄砂とは限らなくても用心のためマスクをしたほうがいいでしょう。
ついでに
黄砂予測で大気の動き(黄砂の動き)のシミュレーションをみれば
福島原発で放射性物質が大気中に放出されたとしても
それが西日本に直接降ってくることはない、
そのことについての過度な心配はいらない、
ということがよく理解できると思います。
大気は西から東に流れているのですから。
地球を1周、あるいは2周以上して降ってくれば別ですが。
本日のお勉強はアレルギーが重なり合う仕組みについて。
本日は上級編です。
フラワーフェスティバルで飲んだ日本酒。
本醸造 仙酔郷。
イベントでもなければ、こういう酒を飲む機会はないですね。
★インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。
本日のお勉強
マウスのIgE産生機構 アレルギー疾患が重なり合う理由を求めて
アレルギー(日本アレルギー学会誌) 2010年12月
大阪医科大学 吉田 龍太郎 先生
要点
通常、抗原特異的抗体は、主として量的に多いものに抗体ができる。
しかし、アレルギー患者では、同時に多種類の抗原にそれぞれ特異的抗体がみられる。
その機構をマウスのスギ花粉症モデルで検討した。
1:鼻粘膜下にスギ花粉が進入した時、常在マクロファージが花粉を異物と認識
2:所属リンパ節でT細胞にIL-4を産生させる。
3:分泌されたIL-4によってB細胞が非特異的IgEを産生。
同時に膜型IgE+B細胞が体中のリンパ節に配備される。
(クラススイッチ、花粉進入後7-10日後)
4:2回目の花粉(抗原)が入ると局所の貪食細胞がヘルパーT細胞に抗原提示。
(2回目の抗原進入から3日目)
5:T細胞からIL-5、IL-6等が分泌されB細胞は抗原特異的IgEを産生する。
(2回目の抗原進入から5日目)
6:このIgEは血中を流れ常在性肥満細胞上のFcεRに結合し感作が成立。
7:3回目の抗原が進入すると架橋され、肥満細胞からヒスタミン等が出て発症する。
以上から導かれるのは
1回目の花粉進入から数週間で感作され、感作から数日で発症する可能性があること。
昨年まで花粉症はなかった、という人でも
(今年のように)飛散量が多ければシーズン中に発病しうる、ということですね。
もう一つのポイントは上記3のステップです。
非特異的IgE+ B細胞は全身に配備されているので、
その時期に進入した抗原については特異的IgEが産生される可能性があること。
これが、多くの抗原にアレルギー反応を示す機構なわけです。
具体例として、
スギ花粉症の人はヒノキ花粉症も合併することが多いことなどが
これで説明できそうです。
これまでは共通抗原あるいは交差抗原性という考え方で、
その考え方でもある程度は説明可能ですが
あまりに多種類のアレルギー反応については交差抗原性では説明できません。
しかも
アレルゲンの進入は、同じ経路である必要はありません。
鼻粘膜に限らず皮膚や消化管のバリアが壊れていれば抗原が進入する可能性があります。
つまり吸入抗原、食物抗原などに多数の陽性反応を示し、共に重症化する、
という患者がいる理由が説明できます。
具体例として、
アトピー性皮膚炎で数種類の食物IgE抗体陽性の人が多いこと、
花粉症患者で果物類のアレルギーを伴う人も多いことも
これで説明できそうです。
アレルギーを専門とする者にとって
臨床上の疑問を解決してくれる非常に簡明な理論です。
あとは、これをもとにした治療薬・治療戦略が展開されていけば良いですね。
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