心に残る出会い23 大腸癌のMさん
Mさんは89歳、男性。
かかりつけ医院がありましたが、足が悪くなってきたため、通院できなくなっていました。
半年前頃から全身状態は悪くなり、家族が薬だけを取りに行く状況が続いていました。
あまりに調子が悪い、というので家族が車で連れて行ったところ、
すぐにK病院に入院となってしまいました。
K病院で精密検査をしたところ、大腸癌、肝転移・肺転移。
進行癌です。
年齢・体力からも積極的治療の対象とはなりません。
状態は悪いのだけれども本人が退院を楽しみにしている、というので
急きょ、在宅療養チームが編成されることになりました。
もともとのかかりつけ医院では
往診/訪問診療をしていない、といって断られたため
当院が担当することになりました。
退院のその日に訪問し、私たちのはじめての出会いです。
診察してみると、状況はきわめて深刻でした。
腹部は膨満しています。
腹水かと思いましたが腹水ではなく、肝臓が癌でぱんぱんに腫れ上がっています。
下腹部には大腸癌の大きな塊もあります。
大きく呼吸することが出来ないため酸素も低下していました。
腰痛をはじめ、あちこちに痛みが生じて、
痛みで何日もろくに眠れていない状況でした。
すぐに鎮痛目的の治療が始まりました。麻薬も開始です。
喀痰吸引器の準備、在宅酸素も開始です。
これでようやく夜はすやすや休めるようになり
本人も家族も喜ばれたことでした。
翌日は安定していましたが、その次の日、血圧が下がり始めました。
痛みなどの苦痛はありません。
日曜日でしたが、午前も午後も訪問診療をおこないました。
残念ながら、今日明日と思われました。
入院するか、このまま在宅で看取るか、ここでもう一度意思確認をしましたが
本人の希望どおり、このまま家ですごしたい、ということになりました。
日曜なので御家族・親戚など会いたい人がいれば連絡して来ていただくようにしました。
その翌朝、Mさんは自宅で静かに息を引き取りました。
退院してわずかに4日間。
とても短い間でしたが、御家族にも我々にも
さいごまで本人の希望どおりにできたな、良かったな、と思える時間でした。
今回あらためて思ったことですが、
もし
調子が悪くて通院がむずかしい、
という状況になれば
往診や訪問診療ということが可能ですので
家族が薬だけもらいにいく、というのはやめたほうがいいです。
往診・訪問診療について、
ぜひ気軽に、早めに相談してみてください。
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