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ワクチンをめぐるニセ医学

2015年02月2日  
昨日は、広島市医師会 夜間急病センターの
「待機当番」でした。
待機とは、出勤するわけではないですが
もし患者が多く、待ち時間が長い状況になりそうであれば
連絡を受け、すぐに出動できるようにしておくことです。
インフルエンザ流行期には、思いもかけない多くの患者が押し寄せ
待ち時間が非常に長くなることもあります。
そういう時の為に待機当番が決まっているのです。
で、
結果は、呼び出しはありませんでした。
インフルエンザはピーク過ぎてきているのかもしれませんね。

さて、
昨日に引き続き、
インフルエンザワクチンの話題です。
今日の記事のほうが本チャンで、
昨日のブログは前座のようなものです。

1月23日に、以下のようなタイトルの記事が出ました。
まずは、記事タイトルで内容を想像してみて下さい。

WHO、インフルエンザはワクチンで予防不可と結論 病院は巨額利益、接種しても感染多数
Business Journal 2015年1月23日
http://biz-journal.jp/2015/01/post_8689.html

さあ、いかがでしょうか?
どんな内容を想像されますでしょうか?

ここに問題の記事があったのですが
今は消されて、下記のようになっています。
***
1月23日に掲載致しました本件記事につきまして、現在追加取材中につき一時的に非公開にしております。
***

ところが
いったんネット上に載せたものは、消えません、消せません。
この記事そのものの魚拓も出ていたりします。
ここでは
本文を引用しているブログから一部を引用してきましょう。
引用・紹介は自由にどうぞ、となっていますから。

真実を探すブログ
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-5289.html

引用:
●ワクチンには予防効果がない
その一方で、東京都内で内科医を開業する医師は、ワクチンそのものに疑問を投げかけている。
「世界保健機関(WHO)のホームページを見ても、『ワクチンで、インフルエンザ感染の予防はできない。また有効とするデータもない』 と書いてあります。
***以下、略

このあと論じますが
この記事内容は事実でない(可能性がある)、と判断して
ビジネスジャーナルが削除をおこなったようです。
引用先が 「真実を探すブログ」、という題名なのは
何だか とてもブラックですね。

2つ、問題点を挙げておきます。
1つは、1次情報に当っていないことが問題。
2つ目は、所属・氏名を書かない記事に信用性はないこと、です。

1つめ。
「WHOホームページには〇〇と書いてあります」、
という主張ならば
出典を明らかにすべきでしょう。
当方が、ニュースや記事のURLをきちんと記載し
リンクを張って提示していることは
みなさん御存知のとおりです。

ところが
この記事には、1次情報についての情報はありません。
WHOのホームページを実際見てみると
主張されているような内容の記載は見つけることができません。

では、WHOホームページでインフルエンザのワクチンの項目を
見てみましょう。

Influenza
Vaccines
http://www.who.int/influenza/vaccines/en/

Vaccination is the most effective way to prevent infection and severe outcomes caused by influenza viruses.

これをgoogle翻訳すると、
ワクチン接種は、感染およびインフルエンザウイルスによって引き起こされる重篤な転帰を防止するための最も効果的な方法である。

また、別な項目では
Global Action Plan for Influenza Vaccines (GAP)
インフルエンザワクチンのためのグローバルアクションプラン(GAP)
http://www.who.int/influenza_vaccines_plan/en/

Global Action Plan for Influenza Vaccines (GAP) is a comprehensive strategy to reduce the present global shortage of influenza vaccines for seasonal epidemics and pandemic influenza in all countries of the world through three major approaches:
– Increase in seasonal vaccine use
– Increase in vaccine production capacity
– Research and development

google翻訳に一部手直しします。
インフルエンザワクチンのためのグローバルアクションプラン(GAP)は、3つの主要なアプローチを通じて、世界のすべての国で季節性とパンデミックインフルエンザワクチンの現在の世界的な不足を軽減するための包括的な戦略である:
-季節性ワクチンの使用の増加
-ワクチン生産能力の向上
-研究開発

このほか
ファクト・シートなども御参照ください。
WHOはインフルエンザのワクチン使用を推奨しています。

つまり
今回のビジネスジャーナルの記事は、誤りであることがわかります。
ですから記事を削除してしまったわけですね。
どこからか指摘があったものと思います。

なにか 「これは!」 という記事を見つけたら
それが本当なのかどうか
元情報(1次情報と言います)に当ってみること。
ネット社会で出回る情報はウソもたくさん混じっていますから
1次情報にあたる、という姿勢が大切なのです。

2点目
WHOホームページに〇〇と書かれている、
と主張する人物は、匿名です。
「東京都で内科を開業する医師」
なる人物が主張している、という記事です。
ところが
ワクチン関係に限らず
医療関係者への取材であれば
所属・氏名まで掲載されていることがほとんどです。
そうでなければ信用されません。
仮に本当の内科医師だとすれば
自信のある主張ならば所属・氏名は明かしていい、と言うはずです。
ですから、今回の記事は、本当に医師に取材したのかどうか、
その点すら あやしい、 と思っています。

何かにつけ「医師はボロ儲けしている!」という主張をしたい人がいるようだ、
ということは言えそうです。悪意を感じる記事タイトルです。
(ま、この話は別な機会に。)

ニセ医学記事でないかどうか、の見分けは
しっかり氏名・所属が記載されているかどうか、が
簡単なポイントとなります。

ニセ医学サイトのなかには
実在しない医師名を出しているものもあるようですので
「医師名が書いてあってもニセ医学」、ということもありえます。
まして、氏名のない記事は最初から信じてはいけません。

最近飲んだビール
ミュンヒナー デュンケル
セブンイレブンで購入しました
P1000785.JPG
★新型インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。

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