サ高住で高齢者「選別」の実態
冬になりましたね、寒いです。
往診・訪問診療には、薄手のダウンジャケットを着て 走り回っています。
日が差すと車の中は 暖かいんですけどねー。
かぜひかないよう用心しましょう。
さて
NHKスペシャルは いい番組が時々あります。
今回の特集、ひじょうによい視点であったと思います。
NHKスペシャル 人生100年時代を生きる 第1回「終の住処はどこに」
2018年11月17日(土) 午後9時00分
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/46/2586104/index.html
人生100年時代を迎える日本の課題を見つめるシリーズ。1回目は『終(つい)の住処(すみか)』について。深刻な施設不足が懸念される中、切り札として登場したのが「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」。国は多額の補助金を投じ民間企業の参入を促してきた。ところが現場では認知症の高齢者の急増などで思わぬ事態が起きている。サ高住は“救世主”になるのか。徹底ルポと独自の大規模調査で実態に迫る。
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神戸マラソンの前夜に、ちゃんと見ました。
オンデマンドで見ることが出来るようです。
文章でよければ
以下のサイトで見ることが出来ます。
人生100年時代の「終の住処」どこに――サ高住で高齢者「選別」の実態
https://news.yahoo.co.jp/feature/1144
今の介護保険には制度矛盾がいくつもあります。
たとえば
熱心にリハビリや機能維持に取り組んでいる事業所があるとして、
その結果 要介護度が3から2に 軽度になってしまうと
介護報酬が減額になってしまいます。
がんばる事業所ほど収入が少なくなる、ということです。
その逆に
余計なことは何もせず、むしろ必要なこともせず、
どんどん機能が落ちていき要介護3から要介護4に 悪くなってしまうと
介護報酬が増えることになります。
介護保険の分野に、建設業界などの株式会社が次々参入するようになりましたが
参入したからには赤字にするわけにはいかないでしょう。
「収益を第一に」考える企業であるとするならば
どちらの経営戦略をとるか、明らかですよね。
介護や福祉の分野に 資本主義・株式会社の理念はそぐわない、と言われてきたのは こういうことです。
この番組で取り上げられたように
今のサ高住では 驚くほど重度の方を入所させるようになっています。
経営のためには重度(介護度が重い)の方を引き受けるしかない、のでしょう。
番組では紹介されなかった点をひとつ。
それは 施設での訪問診療を担当する「医師の問題」です。
もともとサ高住は軽症の人の入居が想定されていました。
その段階ですと
医師には特別なスキルは必要がありません。
誰でも契約医師になれる時代だったのです。
しかし
重度の方が次々入居されるようになり、
終の棲家 として 最期の看取りにも対応できないといけない。
そうなると
緩和ケアの知識、看取りの経験を積んだ医師、24時間対応可能な診療所でないとつとまらなくなってきている、
ということなのです。
じっさいに、施設の契約医師をやめる、やめた、 という話が あちこちで聞かれはじめています。
当院は医師2名体制で24時間の看取り対応しています。
二人とも緩和ケア・認知症の研修を修了しており、対応可能です。
住み慣れた場所で最期まで、と思われている方は
早めに当院に御相談ください。
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