ブログ

心に残る出会い63 ヨーロッパの娘さんが間に合ったKさん

2014年11月30日  

毎月の最終日曜日は心に残る出会いです。

Kさんは72歳。
一人暮らしをされていました。
あるとき、足がむくむようになり
近所の整形外科医院で治療を受けましたが改善せず
内科診察を希望されて当院を受診されました。
診察所見で腹部に塊があり、
Y病院に検査目的で紹介することとなりました。
結果は進行した胆のう癌。
Kさんは積極的治療は希望されませんでした。
入院治療で体調が落ち着いたため
自宅での生活を希望され、
訪問診療で当院が担当することとなりました。

しばらくは痛みは軽く、第二段階の鎮痛薬でコントロールできていましたが
次第に痛みが強くなります。
オピオイド(医療用麻薬)に切り替えて
痛みのコントロールが続きます。
息苦しさも出てきて
在宅酸素もはじまります。

次第に衰弱しはじめ
「最期はどうされますか?
病院に入院しますか、それとも自宅で最期まですごしますか?」
ということが話題になった段階でのことです。
じつはヨーロッパに娘がいるはずだが、連絡先が全くわからない、
葬式は民生委員さんに出してもらうのでいい、
ということをKさんが口にされました。
これまで入院先の病院でも、あるいは私たちにも、
身よりはまったくない、
という話しかされておらず
娘さんがいる、という話に誰もが驚いたのでした。

こういう時に、ケアマネージャさんの動きはすばやいです。
本当に頼りになります。
娘さんとの連絡方法が判明し
Kさんの現在の病名・病状と、今後の見通しをお伝えすることが出来ました。
Kさんが離婚した後、娘さんとの交流は全くなかったけれど
たった一人の子供であるし
最後ということなら父に会っておきたい、とのことでした。

Kさんは食欲がなくなり、状態はいよいよ悪化してきました。
娘さんは帰国の手配をされましたが
聞いてみると その飛行機の便はまだ何日も先のことでした。
それでは間に合わない可能性があります、と伝え
早い日程の便に取り替えていただくようお願いしました。
家族全員が並んでの席は取れなかったですが
帰国便が変更できて、日程は早くなりました。

翌日の訪問診療のさいに
明日、娘さんたちが帰ってきますよ、と伝えると
Kさんはにっこりされました。

娘さんたちは、帰国され、まっすぐ広島に帰ってこられました。
Kさんは この時点では努力呼吸ではあるものの意識はあり、
娘さんたちと会話できました。

その日の夕方、Kさんはお亡くなりになりました。
Kさん、娘さんが間に合ってよかったですね。
お孫さんにも会えましたね。


一人暮らしの方は多く、
「身寄りはない」、と言われる方も多いです。
本当に誰もいない場合には
民生委員さんが火葬ほか引き受けることになります。
遠い親戚がいて、おい や めい の方が 
これまで会ったこともない人の身元引き受けになることも
珍しいことではありません。
治療は全てお任せします、
死んだら連絡ください、
火葬そのほかもそちらで全部お任せします、
なんて言われることもよくあります。
身寄りがない、という話であっても
よくよく聞いてみたら別れた妻や子供さんがいる場合もあります。
そんな時にケアマネージャさんは手を尽くして調べ
何年・何十年も音信不通だった子供さんに連絡がとれることもあります。
ドラマのような世界が、現場ではときどきあります。


ドバイ
古くからある店で、一度は行ってみたいと思っていました。
ドバイ焼 肉玉そば
ボリュームあります。

P1000457.JPG

★新型インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。

コメントは受け付けていません。