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インフルエンザ沖縄で流行入り

2010年10月16日  

多剤耐性菌はどこにでもいる

今回、さいたま市民医療センターで肺炎で入院した高齢者から
多剤耐性の肺炎桿菌が検出され、
精密検査したところNDM-1型と判明した。
(ニューデリー・メタロ・βラクタマーゼ 1)
この高齢者には海外渡航歴はなかった。
ということが報道されました。
続報もなくなり、パニック状態は落ち着いたと思いますので
改めて取り上げてみたいと思います。

YomiDr (Yomiuri online)
渡航歴ない耐性菌患者…「NDM1」持つ肺炎桿菌
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=31650

厚生労働省プレスリリース10月4日
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dl/multidrug-resistant-bacteria_n.pdf

この記事の意味するところは
「多剤耐性菌はどこにでもいる」、ということです。
海外で流行していても日本国内では関係ない、ということはありません。
世界のどこかで発生したものは、日本にも入ります。
どこかの誰かにくっついて国内に入っているわけですが、
その人が重症になって入院した、とか死亡した、という話はありません。
また、この高齢者のいた施設で病人が続出している、という話もありません。
(入院した病院でも、入院前の入所施設でも)

多剤耐性菌、というのは、基本的には
増殖能力の低い菌、
体力のある人には害をなさない菌、
ほうっておけば体内からは次第に消えていく菌
のことが多いのです。
こわいな、という思いを持つことは重要ですが、
過度に恐れる必要はありません。
あわてない、あわてない。

多剤耐性菌に対抗するには
体力を保ち元気でいること。
長期に抗生物質は使用しないこと。
(外来での治療だと3-4日で十分です。百日咳など特別なものは例外)。
うがい手洗いなど感染症予防の基本を徹底すること。
インフルエンザ等、ワクチンで予防できる感染症は予防しておくこと。
健診を受けること、とくに癌は健診による早期発見を目指すこと。
当たり前の対抗策で良いのです。

季節もよくなりました。
しっかり食べ、しっかり運動しましょう。

多剤耐性菌への備えは、特別なものでなくて十分ですよ。
一般の市民が、恐れる必要は全くありません。
入院しなくてもすむように、
大きな手術を受けなくてもすむように、
というだけのことなのです。
(医療者側は、しっかり準備して備えておく必要はあります)

今週の花2 ハツユキカズラ
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★インフルエンザ情報
沖縄県が流行入りの指標を超える。
Yahooニュース 医療介護CBニュース 10月15日(金)12時46分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101015-00000000-cbn-soci

定点あたりの患者数が、流行入りの指標を超えたそうです。
沖縄については、県立宮古病院で職員・患者に感染者が多発し
面会制限をおこなったというニュースも出ています。(10月9日)
(当院ブログ10月12日で紹介しました)

昨年、新型インフルエンザ2009A/H1の秋の流行は まず沖縄で猛威をふるいました。
病院の外来や集中治療室がパンクするほど患者が押し寄せたのです。
今年も沖縄の推移が参考になります。要注目です。

広島では
医師会のインフルエンザ情報で
佐伯区のほかに安佐地区でも多く発生しています。
その他の地区は少ないです。

昨日から65歳以上へのワクチン接種がはじまっています。
早めに受けるようにしましょう。
当院では職員全員への接種もすでに完了しています。

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