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ジェネリック医薬品 不都合な真実

昨日4月17日中国新聞朝刊 地域面で以下のニュースが報じられました。
全国の自治体で初めて国民健康保険加入者の一部に、安価な後発(ジェネリック)医薬品を使った場合の新薬との差額を通知をしている呉市は16日、5カ月間で3400人余りが切り替え、約2000万円の削減効果があったと発表した。 詳しくは以下のHPで。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200904170054.html

ジェネリック医薬品(後発医薬品)はテレビでも盛んに宣伝していますね。
先発医薬品に比べ安いですよ、という内容です。
実際に呉市でPRしたところ、2000万円削減できた、という記事です。
昨今の家計の状況からは、安い薬の需要があることも確かです。

しかし、先発品と後発品が同じであるならば それでいいのですが、
我々医療者は、「先発品と後発品が同じ」とは思っていません。
我々が懸念しているのは主に2点です。
1:後発品での効果・副作用が同じだという保証がない。
後発品では効果が低く、副作用が多いと思われる。
2:後発品が安いのは、研究開発費や安全性検査を省略しているためである。後発品が売
れれば売れるほど先発品が売れなくなる。次世代の薬を開発するのは先発品メーカー
なので、先発品が売れなければ研究開発の予算がなくなる。つまり次世代の薬が開発
されなくなり、社会全体にとって最終的には不利益になるのではないか。

このうち2の視点については、社会経済としての医療(医療費)をどう考えるか、という問題になります。もうこれ以上 新薬や新しい検査法・治療法は開発・普及しないでよい(医療費が高くなるのは困る)という意見の方もおられます。

そこで、1の視点について、本日のお勉強

急性好酸球性肺炎軽快後にニコラーゼによる薬剤性好酸球性肺炎を発症した1例
日本呼吸器学会雑誌 2009年3月
大分大学医学部総合内科学第二講座 甲斐直子先生ほか

要点
商品名ニコラーゼというのは、セラペプターゼ製剤の後発医薬品である。
先発品(標準薬品)は商品名ダーゼン。
本例では、ニコラーゼによる薬剤性肺炎でありアレルギー反応陽性だったが、
ダーゼンにはアレルギー反応が認められなかった。
ニコラーゼの添加物は14種類あり、ダーゼンと共通の添加物は4種類のみである。
残り10種類の添加物のどれかが発病に関与した可能性が考えられる。

薬というものは、有効成分だけでできているわけではありません。
薬としての形を保ったりするために、さまざまな添加物が使用されています。
その添加物の種類や量は、先発品と後発品では違うのです。
ですから、本来は後発医薬品であっても安全性試験をすべきなのです。

先発品に比べ後発品では効果が弱いものがある、ということを我々は知っています。
また本例のように、先発品にはない有害事象がおこりうる ということも我々は知っています。
後発品と先発品は同じではない。
しかし、安い薬にはそれなりの危険性がある、ということは一般には報道されません。
もちろんテレビCMでも そんな事は言っていません。

安かろう悪かろう、という言葉があります。
医療の世界では、安かろう悪かろう は避けるべきだ、と思っています。
(後発品の全てを否定するものではありません。
例外的ですが先発品より優れている後発品があることも知っています。)

当院でもジェネリック医薬品を希望されれば、副作用などの説明をおこなったうえ
対応しています。
評判のよいジェネリック、評判の悪いジェネリック、いろいろあります。
当院で、あるいは薬局でご相談ください。

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