ブログ

スーパードクターが医療を崩壊させる2

2010年04月5日  

昨日のカープ、永川が大敗しているタイミングで出てきました。
調整登板ということだったのでしょうが。
先発が崩れていくので、どうしようもありません。
永川は敗戦中継ぎ登板ではなく、先発転向すべきだと思いますが、
いかがでしょうか。

スーパードクターが医療を崩壊させるという点について、
もう一つ、別な観点で考えています。
スーパードクターと呼ばれる人たちは、
現場で診療するのではなく、
教育者になり後進を育てる立場になるべきだ、と。

「エキスパートシステム」
という言葉を、御存知でしょうか?
およそ30年前、
私が大学生として大学のコンピュータクラブで遊んでいた頃の用語です。
名人・達人、いわゆるエキスパートと言われている人たちの
やっていること、考えていることを
コンピュータのプログラムに落とし込む(組み込む)ことができれば
良い結果が出せるシステム(プログラム)が出来るのではないか、
というものです。
(理解しやすいように、すごく簡略化して説明しました)

個人でパソコンを持つという時代が始まる頃の話です。
大学祭用に大学のコンピュータでオセロゲームのソフトを作り
私の頭の中にある「勝利の方程式」を
何週間もかかってプログラムに落とし込んでいたものです。

エキスパートシステムでは、
名人達人の話す内容をうまく拾い上げプログラム化すれば
8割程度は組み込めるのではないか、と言われていました。
大学などで試験の合格点は60点のことが多いですね。
つまり、
80点をとる優秀な人の思考経路をうまくプログラミングすれば
80×0.8=64点 取れることになり、
合格点が与えられるものができることになります。
医学の世界でも
正しい病名・診断名をコンピュータが出す「診断ソフト」は
可能ではないか、と思っていました。
平均的な医師の上をいく「コンピュータ診断ソフト」は可能だろう、と。
(現在ではエキスパートシステムとは全く別な方式の
コンピュータ診断ソフトが開発されています)

このエキスパートシステム診断ソフトが
合格点をとるためには、
80点以上を獲得している名人の存在が不可欠となります。
では、80点以上をあげることができる医師は実際にいるのか?

東京大学医学部の沖中重雄教授は1964年、定年退官の最終講義で
「私の誤診率は14.2%だった」と報告したそうです。
一般の人は、東大教授でも誤診が「そんなに多い」のか、と驚き、
医師たちは、さすが東大教授、誤診が「そんなに少ない」のかと驚いたそうです。
沖中教授が超第一級の名医であったことは間違いないでしょう。
それでも正診率(正しく診断する率)は86%ということです。

この話から私が考えたのは、
(超とまではいかないまでも)
第一級の名医であれば80%の正解率は越えると考えられます。
スーパードクターと言ってもよいでしょう。
こういう名医、スーパードクターは
自分で直接患者を診療するのではなく
教育者になるべきだ、ということです。
さきほどのエキスパートシステムというのは
コンピュータのソフトに叡智を落とし込む、というものでした。
これは医学部の学生教育に置き換えて考えることもできると思っています。
そうして
自分の研鑽してきた知識・経験・考え方・取り組み方を
次の世代に伝え育成することによって
結果として より多くの患者を救えることになるのではないか、と。

スーパードクターが自分で直接患者を診断・治療していたのでは
一生のうちに救える患者の数というのは限られてしまいます。
もちろん、スーパードクターとして活躍すれば
好きなこと(診療、手術)が思う存分できて、
名声も、お金も ついてくることでしょう。
地位も名誉も独占的に手にすることができるでしょう。
しかし、
自分の成績がどうやら80点を超えたな、
名人・達人の領域に達してきたな、と
他の人が認めてきたならば、
直接の診療の場面からは身を引き、
後進を育てるという次のステップにすすむべきである、と思います。
診断の名人は診断学で、
検査の名人は検査学で、
治療・手術の名人は治療学で、
大学の教授になって後進を育てるべきであろうと思うのです。
(こうした真の名人は、自分で自分のことを名人だ達人だ、
と思う(うぬぼれる)ことはありませんので
あくまで他の人からの評価でなければなりませんが。
自分で 自分は優れている、と思っている人にはロクな人はいない。)

だから、
スーパードクター紹介の番組に出てもらえませんか、
という交渉が来たならば、
その時点で後進育成に方針を転換すべきだ、ということになります。
スーパードクターが寝る間も惜しんで手術をしている、
という内容の番組は
どこかおかしいぞ、と いつも思っています。
スーパードクターが1人2人を助けるのではなく
100人の次世代を育成すれば
助けることのできる人数は100人200人になり、
さらに次々世代の育成までいけば
助けることのできる人数は1万人2万人になるのですから。

へそまがりな意見かもしれません。
でも
エキスパートシステムというコンピュータのソフト開発(のまねごと)をおこない、
教育病院で研修医の教育、院内職員の教育、地域医療関係者の教育に取り組んできた、
という経験から
スーパードクターはいらない、ブラックジャックはいらない、
と思っています。

まとめ
私の考える医師像は
・まず全ての医師は合格点以上(60点以上)は必要だ。
合格点以下では お話にならないことは明らかです。
→ 広い範囲の生涯学習が必要。
・60点以上の医師は、次は80点を目指すべきだ。
名人、達人の領域を目指し努力すべきでしょう。
→ きびしい自己研鑽が必要。
そして
・80点以上に到達した医師は次世代育成を仕事にすべきである。
いつまでも名医・スーパードクターという「個人レベル」に留まらず、
多くの人々を救うことを目標に取り組むべきでありましょう。

長文におつきあいいただき、ありがとうございました。

ジャムくん。老犬です。
朝がきても丸くなって寝ています。
寝ている時間が長くなり、ほとんど動き回らなくなりました。
100327_071935jam asadayo.jpg
★新型インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。

肺炎予防推進プロジェクト「怖いぞ、肺炎! 予防が大事」キャンペーン

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です