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今も続くナチ狩り

2011年12月30日  

本日も、在宅で緩和ケアをしている患者の病状悪化などもあり
忙しくしています。

さて、
内科学会雑誌、というのはとても分厚い雑誌で、
しかも最新の情報が詳しく紹介されていますので
読むのに骨が折れる雑誌です。
ちょっと油断していると、すぐに何冊もたまります。
1冊のなかの1論文だけは要約して「本日のお勉強」にまとめますが、
他に何十編もの論文を読むので、じつはつらい作業でもあります。
医学の進歩についていく努力を、医師は日々おこなっています。

平成23年9月号の論文を読んでいて、
おやまあ、と思った話。
ウェジナー(Wegener)肉芽腫、という疾患があります。
呼吸器内科、耳鼻科、そのなかでも
アレルギーを専門にしている者にとっては
よく知られている病気です。
(日本人にはそう多くありませんので
出くわすことは少ない病気ですが)。
詳しい内容は省略しますが、血管炎症候群の疾患のひとつです。

2011年に血管炎の国際会議があったそうですが、
「Wegener医師は第二次世界大戦でナチに関連していたために病名に名前を冠することは不適当である」、という観点で検討がおこなわれ、
病名の変更が提唱されたそうです。
新しい内科の教科書から新分類病名に書き換わっていき、
Wegener肉芽腫という病名は消えていくことになります。

ナチ狩り、というのは 執念深いものだ、
と思いました。
日本人なら、いまさらこんなことはやらないでしょう。
日本人的なほうがこの世は暮らしやすいとは思うのですが。
西洋人的な執念深さ、なんか恐ろしい・・・。

医学など学問の世界では
第一発見者に栄誉がある、というのは常識です。
それは変えてはいけないルールだと思うのです。
病名から名前を消してしまえ、というのは
ちょいとやりすぎのような気がしないでもありません。

今週の花 オンシジウム
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