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心に残る出会い30 喉頭癌のKさん

2012年02月26日  

本日は東広島市で在宅医療の講演会&シンポジウムです。
ぜひ御参加ください。
時間や場所などは昨日のブログをお読みください。

さて、
毎月の最終日曜日には、心に残る出会いを御紹介しています。

Kさんは91歳。
脳梗塞の後遺症がありましたが、
年金額が少ないこともあり、
ふだん医療機関を受診することはありませんでした。
時々デイサービスを利用している程度でした。
3ヶ月くらい前から次第に食事量が少なくなり、
1ヶ月前くらいからタバコも吸わなくなりましたが
年齢のためだと周りの誰もが思っていました。
ケアマネージャから電話依頼があり、
来週から訪問診療、ということになりました。

その相談をした翌日、転倒して打撲し
ケアマネージャに連れられて来院されました。
私達のはじめての出会いです。
打撲そのものはたいしたことはありません。
しかし、衰弱が相当すすんでいます。
食欲がない、というよりは
食物の飲み込みが悪く、
水分を飲もうとすると、鼻や口からこぼれ出るのだそうです。

嚥下がうまく出来ない状態ですので、
食道癌や喉頭癌を疑いました。
一度は精密検査が必要です。
血液中の酸素も低下しており、誤嚥性肺炎も疑われます。
至急でN病院に入院治療と検査を依頼しました。

診断はやっぱり誤嚥性肺炎と、喉頭癌でした。
しかも、相当に進行した癌で、
積極的治療の段階は過ぎています。
痰や唾液の吸引が頻回に必要となり、
自宅ではとても無理だろう、ということになり
転院先を探すことになりました。
家には車いすの奥さんがおり、
車いすで見舞いや付き添いに行ける範囲の病院を希望されたのですが
該当する病院がなかなかうまく見つかりません。
そうしている間にもどんどん状態は悪化していって
2週間ちょっとでKさんは亡くなられました。

こんなにも状態が悪かったなんて驚いた、
と あとで娘さんが話されていました。
でも、高齢者で食事量が減り食べられなくなってきたら
平均的な余命はだいたい1ヶ月以内なんですよ。
体力の予備がありませんので、
いったん弱りはじめたら、経過はすごく早いのです。
そのことはぜひ多くの方に知っておいていただきたいと思います。

写真は秋山先生の学長就任祝賀会、コースの肉料理。
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