ブログ

心に残る出会い32 財産をすべて失ったNさん

2012年04月29日  

カープ、3点取られたところでラジオを消した、
という人が私の回りには多かったです。
サファテがベンチ入りしていたのに、
最後にサファテが登板しなかったのはナゼ?
??? の敗戦ですね。
納得いかんなあ。
サファテで負けるのなら納得しますけどねえ。

さて
毎月最終日曜日は、心に残る出会いです。

Nさんは54歳。
医療関係でばりばり働いていました。
ある年の定期健康診断で肝機能異常がひっかかりました。
何も自覚症状はないのでしばらく放置して、
数ヶ月後に再検査してもやっぱり異常値です。
そこで精密検査を受けたところ、
胆管癌ということがわかりました。
黄疸も出てきて緊急入院です。
肝臓転移・肺転移もあり、手術できる段階ではありませんでした。

とりあえず黄疸を解消するため胆管ステントを実施。
その次には抗がん剤治療を勧められたのですが
Kさんは拒否して無理矢理退院してしまいました。
仕事も辞め、その後は・・・。

免疫療法など、
効果が確立されておらず
保険がきかず費用も非常に高額な治療を選択されたのでした。
広島以外の遠方であちこち病院・治療法を変えながら
続けてこられました。
しかし、どの治療法にも効果はありませんでした。
肝臓転移が大きくなり、
腹水も貯まる状態になってきたのですが、
もうKさんには治療を続けるお金が残っていません。
治療を断念して広島に帰ることになりましたが、
もう家も貯金も、何も残っておらず、
妹さんの家に転がり込むしかありませんでした。

この段階で、私達のはじめての出会いです。
痛みのためにオピオイド(医療用麻薬)がかなり増えており
痛みだけは何とかして欲しい、という御希望でした。
当方が薬を調整して、痛みをコントロールしていきます。

しばらくは安定した状態でしたが、
じょじょに体調は悪くなります。
ある日、いよいよ動けなくなった、と往診の依頼です。
行ってみると、Kさんはもう布団から出ることもできず
トイレにも行けない状態になっていました。
このあと、どうしますか?
在宅で最期まで、という選択肢もあることは説明しましたが
そこは自宅ではなく妹さんの家でした。
これ以上の面倒をかけることはできない、と
入院を希望され、F病院に入院となりました。

Nさんは、医学的な知識も、理解力もある人でした。
胆管癌というのは、確かに治りにくい癌の代表格であり
薬も効きにくいのではありますが、
どうして最初から標準的治療法を拒絶されたのか?
とくに私達に理由を語られることはありませんでした。
それにしても
本当にとことんお金が尽きるまで、
免疫療法にお金をつぎ込み続ける必要があったのか・・・。

Nさんは入院して腹水を抜く処置をしたところ
一時的に回復し食欲も少し出ました。
ベッドの上にしばらく座っていられる程度への回復です。
私達が病室にお見舞いに行ってみたところ、
ナントカD水 とかいうパンフレットを見ています。
友人が持ってきてくれた、と。
その水は癌や難病、なんでも効くのだ、と書いてあります。
もちろん非常に高額です。

財産をすべてなくしたNさんに対して、
まださらにお金をむしりとろうというパンフレットを持ってくる人がいる。
しかも、ニセ医学の典型的なうたい文句です。

Nさん、それは「本当の友達」でしょうか?
本当の友達なら、そんなこと絶対しないですよ。

Nさんはその数日後、病院でそのままお亡くなりになりました。

いぶしぎん の 鰯の一夜干し。
いわしが好きです、塩焼きでも、煮物でも。
もちろん小いわし刺身、天ぷら・フライも大好物。
今回の一夜干しは少し塩辛かったですかね、
酒はすすみますが。
P1000041.JPG

★インフルエンザ情報
とくに新しい情報はありません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です