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心に残る出会い43 サッカー好きのNさん

2013年03月31日  

昨日は夕方の往診のあと、夜の廿日市の桜土手に花見に行きました。
翌日(つまり本日)の天気予報があまりよくなさそうだったので。
満開に咲いている木と、まだこれからの木があり、
ピークは数日あとでしょうかね。
でも、きれいでしたよ。
きれいな桜並木を歩けるというのは幸せだな、と今年もしみじみ。

昨日のカープ、
5点勝負と思っていましたが、予想はおおはずれ。
両軍投手陣がすばらしかったです。
でも、勝ちたかったですね。
今日はマエケン。応援しましょう。
サンフレも大勝でよかったです。

さて、
毎月最終日曜日は心に残る出会いです。

Nさんは63歳
もともと若い時から現在までサッカーチームで走り回っている方で
元気そのもの、と誰もが思っていました。
ところがある時急に、動くと息切れするようになり
病院で精密検査を受け、「拡張型心筋症」という心臓の病気であることが
判明しました。
循環器内科に通院がはじまります。
心臓病か、なんてこった、と思っていたところ、
今度は激烈な腹痛。
なんと肝臓癌の破裂でした。
緊急で処置をし、何とか乗り越えましたが
元気いっぱい、の日常からわずか数か月後には
心臓病+癌末期状態という診断となったのでした。

肝臓がんは、ある程度ゆっくり進行することが多いです。
しかし、Nさんの癌は非常に急速に進行してきます。
すぐに在宅酸素も必要な状況になってしまいました。
家に帰りたい、帰るなら今しかない、
ということで急きょ退院が決まり、
退院前カンファレンスが開催されることになりました。
在宅緩和ケア医として当方に依頼があり、
カンファレンスで私たちの初めての出会いです。

翌日退院し、さっそく訪問診療の開始です。
訪問すると、ベッドでサッカーのテレビを御覧になっています。
家はいいなあ・・・。
幸い痛みはありませんが、しかし食欲はほとんどありません。
診察所見では、腹は膨れあがってパンパン。
巨大な肝臓癌が腹の中を占領していたのでした。

黄疸があり皮膚のかゆみもあります。
体中にひっかきキズです。
寝ている間に知らず知らずひっかいてしまうのです。
かゆみ止めの薬を処方するとともに、
ツメを短くきれいに整えるようアドバイスです。

退院して5日間。
少しだけ、ですが安定した日をすごせました。
その夜、これまでにない息苦しさで緊急往診です。
ゼイゼイという呼吸。
息苦しさで横になることもできません。
心不全の悪化です。
心不全は、薬の持続点滴で楽に出来る可能性があります。
本人・家族と相談し、
循環器内科に救急で入院することとなりました。
エレベーターが狭く、タンカは入りませんので
救急隊員が抱えて救急車に移動です。
しかし、
その翌朝、Nさんは病院でお亡くなりになりました。

Nさん、現役時代のサッカーの自慢話をもう少し聞きたかったですね。

廿日市の桜土手
ここを往復するのが花見シーズンの楽しみです。
P1010621.JPG
★インフルエンザ情報
広島県はまだ注意報レベルを少し超えた状況が続いており
このため警報がまだ解除されません。
来週には警報解除になるだろうと思います。

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